エンディングノートの書き方

財産の書き出し方|財産目録の作り方と、抜け漏れを防ぐ確認先

エンディングノートに財産をどう書けばよいかを解説します。金額ではなく「ありか」を書く理由、預貯金・保険・証券・不動産・暗号資産それぞれの確認先、亡くなったあとに家族が使える照会制度、そして基礎控除と照らして相続税の要否を見る手順まで。

約5分で読めます・2026-09-06 公開

この記事の要点

  • 財産目録に書くのは残高ではなく「ありか」です。金融機関名と口座の種類が分かれば、家族は残高を調べられます。
  • 口座番号やパスワードそのものは書かないでください。ノートは金庫ではなく地図と考えます。
  • 家族が見つけられずに埋もれやすいのは、ネット銀行・ネット証券・暗号資産・貸金庫・古い保険の5つです。
  • 亡くなったあとの照会制度として、生命保険は生命保険契約照会制度(1回3,000円程度)、証券口座は証券保管振替機構への開示請求があります。
  • 書き出した合計が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで、相続税の申告が要るかの見当がつきます。

エンディングノートで最も手が止まるのが、財産の欄です。「全部書くのは大変」「金額を書くのは気が引ける」。どちらもよく聞く声で、どちらももっともです。

ただ、家族が本当に困るのは金額が分からないことではありません。そもそも、どこに何があるのかが分からないことです。ここを押さえれば、財産の欄は思っているよりずっと軽く書けます。

書くのは金額ではなく「ありか」#

残高は変わります。書いた翌月には違う数字になっているので、正確に書こうとするほど続きません。それより、その口座が存在することが伝わるほうが何倍も役に立ちます。金融機関名と支店名さえ分かれば、家族は残高証明書を取れます。

書くこと書かなくてよいこと
金融機関名・支店名・口座の種類残高(変わるため)
保険会社名・証券番号口座番号の全部
不動産の所在(住所でよい)評価額
通帳・証書・権利証の保管場所暗証番号・パスワード
貸金庫の有無と、鍵の場所

種類ごとの書き方と、確認先#

預貯金

  • 確認先 — 通帳、キャッシュカード、金融機関からの郵便物、家計簿アプリの連携先
  • 書くこと — 金融機関名/支店名/普通・定期の別/おおよその用途(生活費、貯蓄用など)
  • 見落としやすいもの — 給与振込に使っていない古い口座、単身赴任先で作った口座、子ども名義の口座

子や孫の名義でも、実際にお金を出して管理していたのが本人なら、税務上は名義預金として本人の財産に含まれます。ここは税務調査で最も多く指摘される論点です。名義が違っても、通帳を自分で管理しているものは書き出しておいてください。

生命保険

  • 確認先 — 保険証券、年1回届く「契約内容のお知らせ」、口座の引き落とし履歴
  • 書くこと — 保険会社名/証券番号/受取人/保険の種類(死亡保障か、医療か)
  • 見落としやすいもの — 勤務先の団体保険、住宅ローンの団体信用生命保険、共済、払済にした古い契約

死亡保険金には500万円 × 法定相続人の数の非課税枠があります。受取人が誰かによって税金の扱いが変わるので、受取人まで書いておくと後で役に立ちます(生命保険と相続税)。

有価証券・投資信託

  • 確認先 — 取引残高報告書、証券会社からのメール、確定申告に使った特定口座年間取引報告書
  • 書くこと — 証券会社名/口座の種類(特定口座・NISAなど)
  • 見落としやすいもの — ネット証券(紙が届かない)、勤務先の持株会、非上場の同族会社の株式

不動産

  • 確認先 — 毎年届く固定資産税の納税通知書、権利証(登記識別情報)、市区町村の名寄帳
  • 書くこと — 所在(住所でよい)/種類(自宅・田・山林など)/共有かどうか
  • 見落としやすいもの — 私道の持分、山林や農地、祖父名義のままの土地、遠方の別荘地

デジタル資産

ネット銀行、ネット証券、暗号資産、電子マネーの残高。紙が届かないため、書いておかないと存在ごと家族に伝わりません。暗号資産は相続税の課税対象ですが、取引所や保管場所が分からないと手遅れになります。詳しくはデジタル遺品の整理をご覧ください。

そのほか

  • 貸金庫 — 契約している金融機関と、鍵やカードの場所。存在を知らせないと開けられません
  • 人に貸しているお金 — 借用書の有無と、相手の名前。相続財産になります
  • 貴金属・骨董・美術品 — 高価なものだけでよい。保管場所を
  • ゴルフ会員権・リゾート会員権 — 年会費がかかり続けるものは要注意
  • 未支給の年金や給与 — 亡くなった後に請求できるもの

亡くなったあとに使える照会制度#

書き残しがなかった場合でも、家族が調べる手段はあります。ただし手間も費用もかかるので、あくまで最後の手段と考えてください。

調べたいもの制度概要
生命保険生命保険契約照会制度生命保険協会に照会すると、加盟する保険会社に契約があるかを調べられます。1回あたり3,000円程度。分かるのは契約の有無だけで、共済は対象外
証券口座証券保管振替機構への開示請求どの証券会社に口座があるかを調べられます
借入信用情報機関への開示請求CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3か所。借入や保証の有無が分かります
不動産名寄帳の写しの交付市区町村ごとに請求します。全国横断では調べられません

書き出したら、相続税の要否を見ておく#

財産の一覧ができたら、合計額をざっと出してみてください。相続税がかかるかどうかの分かれ目は基礎控除で、計算式は次のとおりです。

相続人が配偶者と子2人なら4,800万円。合計がこれ以下なら相続税はかからず、申告も原則不要です。都市部に持ち家があると、土地の評価額だけで基礎控除に近づくことがあるので、一度は概算しておく価値があります。

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一度で完成させようとしない#

財産の欄は、分かるところから、少しずつで十分です。通帳を1枚出して金融機関名を書く。それだけでも、何も書かれていない状態とは天と地の差があります。

そして、口座や契約は思ったより変わります。年に1回でよいので、見直す日を決めておいてください(エンディングノートの見直し)。

よくある質問

Q. 財産の額を家族に知られたくありません。書かないとだめですか?
金額は書かなくてかまいません。この記事でおすすめしているのは「ありか」だけを書く方法で、金融機関名と口座の種類が分かれば家族は残高を調べられます。金額を伏せたまま、家族が困らない状態は作れます。
Q. 借金も書いたほうがよいですか?
書いてください。相続では借金も引き継がれるため、家族が把握できないと、あとから請求が来て困ることになります。とくに人の借金の連帯保証人になっている場合は必ず書いてください。詳しくは負債と契約の棚卸しの記事で解説しています。
Q. パスワードはどこに書けばよいですか?
エンディングノートには書かないでください。パスワード管理アプリを使い、その「マスターパスワードの在りか」だけを信頼できる家族に伝える方法や、封をした別の紙にして貸金庫以外の場所に保管する方法があります。ノートには「パスワードは○○にある」とだけ書きます。
Q. 子ども名義でためている口座も書くべきですか?
書いてください。名義が子どもでも、お金を出したのが親で、通帳や印鑑も親が管理しているなら、税務上は親の財産(名義預金)として扱われます。相続税の税務調査で最も多く指摘される論点なので、把握しておくことが大切です。

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一次情報の確認先

この記事に出てくる制度や数値は、次の機関が公表している情報にもとづいています。 制度は改正されることがあるため、実際の手続きの前に最新の内容をご確認ください。

  • 法務省相続・遺言・登記の制度
  • 国税庁相続税・贈与税・所得税の取扱い

記事に出てくる言葉の意味は用語集にまとめています

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。