遺言書の書き方

遺言書が見つかったら|検認の申立てと、勝手に開けてはいけない理由

遺品整理で遺言書が出てきたときにやることを順に解説します。封を開けてはいけない理由と過料、家庭裁判所への検認の申立てに必要な書類と費用、検認が済むまでの期間、公正証書や法務局保管の場合の扱い、そして内容に納得できないときの選択肢まで。

約4分で読めます・2026-09-06 公開

この記事の要点

  • 封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人の立会いのもと開封します。勝手に開けると5万円以下の過料の対象になります。
  • 自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が必要です。検認を経ないと、預金の解約や相続登記の手続きに使えません。
  • 検認は遺言が有効かどうかを判断する手続きではありません。その時点の状態を記録して、後の偽造や変造を防ぐためのものです。
  • 公正証書遺言と、法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言は検認が不要です。
  • 検認の申立てから完了まで、おおむね1か月から2か月かかります。相続放棄の3か月や相続税の10か月と並行して進めることになります。

遺品を整理していたら、仏壇の引き出しから封をした封筒が出てきた。表に「遺言書」と書いてある。——このとき、まずやってはいけないことがあります。

封を開けないでください#

封印のある遺言書は、家庭裁判所で、相続人またはその代理人の立会いのもとでなければ開けられません。

封をしていない遺言書であれば、開いて読むこと自体は問題ありません。ただし、検認は必要です。

まず、どの種類か確かめる#

種類見分け方検認
自筆証書遺言(自宅保管)全文が手書き。封筒に入っていることが多い必要
自筆証書遺言(法務局保管)手元にあるのは「保管証」。原本は法務局不要
公正証書遺言「遺言公正証書」と印字された正本・謄本。公証役場名がある不要
秘密証書遺言公証人と証人が関与した封書必要

手元にあるのが保管証だけなら、法務局の保管制度を使っています。法務局で「遺言書情報証明書」の交付を受ければ、そのまま手続きに使えます。

検認とは何か#

検認は、家庭裁判所が遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など、その時点の内容を確認して記録に残す手続きです。

ただし実務上は必須です。検認済証明書が付いていない自筆証書遺言では、銀行が預金の解約に応じず、法務局も相続登記を受け付けません。

検認の申立て#

どこへ

遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。相続人の住所地ではありません。

必要な書類

  • 申立書 — 家庭裁判所の書式
  • 遺言者の出生から死亡までのすべての戸籍(戸籍の集め方)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言者の子や兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その人の出生から死亡までの戸籍
  • 遺言書(開封しないまま)

戸籍集めがそのまま検認の前提になります。ここに数週間から1か月かかることが多く、全体の期間を左右します。

費用

項目金額
収入印紙(遺言書1通につき)800円
連絡用の郵便切手数百円〜数千円(裁判所により異なる)
検認済証明書の申請150円
戸籍等の取得費用1通450円〜750円程度の実費

流れ

  1. 戸籍をそろえて申立て
  2. 家庭裁判所から全相続人へ通知 — 検認の期日が知らされます
  3. 検認期日 — 出席するかは各相続人の自由。欠席しても検認は行われます
  4. 開封・検認 — 出席した相続人の立会いのもとで開封し、内容を確認して記録します
  5. 検認済証明書の申請 — これが付いて、初めて手続きに使えます

申立てから完了まで、おおむね1か月から2か月です。相続放棄の3か月、相続税の申告の10か月と並行して進むので、見つけたらすぐ動くのが基本です(相続手続きの流れ)。

検認のあとにやること#

  • 遺言執行者がいるか確認 — 指定されていれば、その人が単独で手続きを進められます(遺言執行者とは)
  • 内容にもとづいて名義変更 — 預金の解約、相続登記
  • 遺言に書かれていない財産があれば遺産分割協議 — 遺言が全財産を網羅しているとは限りません
  • 遺留分の確認 — 配偶者・子・直系尊属の取り分が下回っていないか

内容に納得できないとき#

遺言があっても、打つ手がないわけではありません。

状況取り得る道
自分の取り分が遺留分を下回る遺留分侵害額請求。知った時から1年以内(遺留分とは)
方式に不備がある遺言の無効を主張する。話し合いか、調停・訴訟
書いた時に判断能力がなかった疑い遺言能力を争う。診療記録などが根拠になります
全員が合意している相続人全員の合意があれば、遺言と異なる分け方も可能です(受遺者がいる場合はその同意も必要)

ご自身の遺言を用意するなら、まず財産のありかを書き出すところから。無料・登録不要で始められます。

財産を書き出す

まとめ#

  • 封印のある遺言書は勝手に開けない。開けると5万円以下の過料
  • 自筆証書は検認が必要。公正証書と法務局保管は不要
  • 検認は有効性を判断する手続きではない。偽造・変造を防ぐためのもの
  • 申立ては遺言者の最後の住所地の家庭裁判所へ。印紙800円
  • 完了まで1〜2か月。相続放棄の3か月と並行するので、見つけたらすぐ動く

よくある質問

Q. 検認を受けないと、遺言は無効になりますか?
無効にはなりません。検認は遺言の有効性を判断する手続きではないためです。ただし、検認を経ないと預金の解約や相続登記の手続きに使えず、実務上は先へ進めません。また、検認せずに執行すると5万円以下の過料の対象になります。
Q. 検認の期日に、必ず出席しないといけませんか?
出席は義務ではありません。欠席しても検認は行われ、後日、検認調書の写しを取り寄せて内容を確認できます。ただし、その場で遺言書の状態を自分の目で確認できるのは出席した人だけです。内容に関心がある場合は出席をおすすめします。
Q. 遺言書が2通見つかりました。どうすればよいですか?
2通とも検認の対象になります。日付の新しいほうが優先されますが、消えるのは食い違う部分だけで、食い違わない部分は古い遺言も有効なままです。判断が難しいので、弁護士に相談してください。
Q. すでに封を開けてしまいました。
遺言そのものが無効になるわけではありません。速やかに家庭裁判所へ検認を申し立ててください。その際、開封してしまった経緯を正直に説明します。他の相続人にも先に事情を伝えておくと、無用な疑いを避けられます。

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