実家じまい・空き家

実家じまいの費用|片づけ・解体・売却でいくらかかるか

実家じまいにかかる費用を、片づけ・解体・測量・仲介手数料・税金の項目ごとに相場でまとめました。解体費用が高くなる条件、自治体の補助金、空き家を維持し続けた場合の年間コストとの比較まで解説します。

約6分で読めます・2026-09-06 公開

この記事の要点

  • 解体費用は木造30坪で100万円台からが目安で、道路が狭い・隣家が近い・アスベストがある・残置物が多いと上がります。
  • 片づけは先に自分で済ませたほうが安くなります。エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の家電4品目にはリサイクル料金がかかります。
  • 相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。
  • 仲介手数料は売買価格400万円超の場合、価格の3%+6万円+消費税が上限です。
  • 取得費加算の特例は、相続税の申告期限から3年以内に売れば支払った相続税の一部を取得費に加えられます(空き家の3,000万円控除とは選択適用)。

実家じまいを先延ばしにする理由で、最も多いのが費用です。「いくらかかるか分からないから動けない」という状態は、確かに苦しいものです。

この記事では、項目ごとの相場を並べます。ただし、不動産の費用は地域差と条件差がとても大きい分野です。ここでの数字は「見積りを取る前のあたり」としてお使いください。

費用の全体像#

項目目安必ずかかるか
片づけ・不用品処分数万円〜数十万円ほぼ必ず
解体木造30坪で100万円台〜解体する場合
測量・境界確定数十万円境界が未確定なら
相続登記登録免許税+司法書士報酬相続後に売るなら必須
仲介手数料売却価格の3%+6万円+消費税が上限仲介で売る場合
譲渡所得税利益が出た場合条件次第
ハウスクリーニング・修繕数万円〜任意

① 片づけ・不用品処分#

事業者に依頼する場合の目安です。物量、間取り、階数、エレベーターの有無、搬出経路で大きく変わります。

間取り目安
1K・1DK3万円〜10万円程度
2DK・2LDK10万円〜30万円程度
3LDK15万円〜50万円程度
一戸建て(物量が多い場合)20万円〜80万円程度

幅が広いのは、物量の差がそのまま費用に出るためです。買取のあるものを分けておくと下がることがあります。

費用を抑える方法

  • 自治体の粗大ごみを使う — 業者より大幅に安い。時間があるならこちらを
  • 買取と処分を分ける — 貴金属、ブランド品、骨董、カメラ、楽器は買取に回す
  • 自分で分別しておく — 分別済みだと見積りが下がることがあります
  • 繁忙期を避ける — 年度末(3〜4月)は引っ越しと重なり高くなりがちです

② 解体費用#

構造と延床面積でおおよそ決まります。単価は坪あたりで示されることが一般的です。

構造坪あたりの目安30坪の場合
木造3万〜5万円程度90万〜150万円程度
鉄骨造4万〜6万円程度120万〜180万円程度
鉄筋コンクリート造6万〜8万円程度180万〜240万円程度

本体の解体費のみの目安です。以下の付帯工事は別途かかります。

解体費用が高くなる条件

  • 前面道路が狭く、重機が入らない — 手壊しになると大幅に上がります
  • 隣家との距離が近い — 養生と慎重な作業が必要になります
  • アスベストを含む建材がある — 調査と除去に別途費用がかかります
  • 残置物が多い — 家財を残したまま頼むと割高になります。先に片づけたほうが安い
  • ブロック塀・門扉・庭木・池・物置・カーポート — いずれも付帯工事
  • 浄化槽や井戸がある — 埋め戻しや撤去、井戸は お祓いを行う例もあります

自治体の補助金を確認する

老朽危険空き家の除却に対する補助金を設けている自治体が数多くあります。名称は「老朽危険家屋等解体撤去補助金」「空家等除却支援事業」など、自治体によって異なります。

  • 補助率は費用の2分の1程度、上限50万〜100万円といった例が見られます
  • 着工前の申請が必須のことがほとんどです(解体してからでは受けられません)
  • 予算枠があり、年度の途中で締め切られることがあります
  • 耐震性や老朽度の要件が設けられている場合があります

「○○市 空き家 解体 補助金」で検索するか、市区町村の建築住宅課などに問い合わせてください。解体を決めたら、まず補助金の確認です。

解体すると固定資産税が上がる点に注意

住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する特例があります(200㎡以下の部分は6分の1)。建物を壊すとこの特例がなくなり、翌年から土地の税額が上がります。

ただし、管理されていない空き家が特定空家等・管理不全空家等に指定され勧告を受けた場合も、同じく特例が外れます。「壊さなければ安いまま」とは限りません。

③ 測量・境界確定#

売却時に境界が確定していないと、買主から測量を求められることがあります。

  • 現況測量 — 数十万円程度
  • 確定測量(隣地との立会いと同意が必要) — 数十万円〜。隣地が国や自治体だとさらに時間と費用がかかります

隣地所有者と連絡が取れない、相続で所有者が不明といったケースでは、数か月単位で時間がかかります。売却を考えるなら、早めに境界の状況を確認しておいてください。

④ 相続登記の費用#

相続後に売る場合、まず名義を変えないと売れません。

  • 登録免許税 — 固定資産税評価額の0.4%
  • 司法書士報酬 — 数万円〜十数万円程度(相続人の数や難易度による)
  • 戸籍等の取得費用 — 数千円〜

相続登記は取得を知った日から3年以内が義務です。詳しくは相続手続きの流れをご覧ください。

⑤ 売却にかかる費用#

項目内容
仲介手数料売買価格400万円超の場合、価格の3%+6万円+消費税が上限
印紙税売買契約書に貼付。金額に応じた額
抵当権抹消登記残っている場合。登録免許税と司法書士報酬
譲渡所得税利益が出た場合。実家を相続したときの税金参照

維持し続けた場合の年間コスト#

「もう少し様子を見よう」と判断する前に、持ち続けるコストも計算しておいてください。

項目年間の目安
固定資産税・都市計画税数万円〜十数万円
火災保険(空き家は割高になることが多い)数万円
電気・水道の基本料金1万〜2万円
庭木の手入れ・草刈り数万円(業者に頼む場合)
見回り・管理代行月数千円〜
交通費(遠方の場合)往復の回数分

仮に年10万円としても、10年で100万円。その間に建物は傷み、売却価格は下がります。「決めない」ことにも費用がかかっている、という視点が判断を助けます。

費用を回収できる制度#

  • 空き家の3,000万円特別控除 — 一定の要件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます
  • 取得費加算の特例 — 相続税の申告期限から3年以内に売れば、支払った相続税の一部を取得費に加算できます(3,000万円控除とは選択適用)
  • 自治体の解体補助金 — 着工前の申請が条件
  • 空き家バンク — 自治体が売り手と買い手をつなぐ仕組み。改修補助を併設している例もあります

税金の特例は要件が細かく、期限もあります。詳しくは実家を相続したときの税金をご覧ください。

費用の見通しを立てる前に、まず何があるかの把握から。実家の不動産・預貯金・契約を書き出せます。無料・登録不要です。

実家の情報を書き出す

見積りを取るときのコツ#

  1. 必ず3社以上から取る — 解体も片づけも、同じ条件で倍近く違うことがあります
  2. 現地を見てもらう — 電話やメールだけの見積りは、後から追加請求になりがちです
  3. 内訳を出してもらう — 「一式」だけの見積りは比較できません
  4. 追加費用が発生する条件を書面で確認する — アスベスト、地中埋設物、残置物
  5. 廃棄物の処理方法を確認する — 不法投棄されると、依頼した側が責任を問われることがあります
  6. 補助金の申請前に着工しない

まとめ#

  • 費用は片づけ・解体・測量・登記・仲介手数料・税金の組み合わせ
  • 解体は木造30坪で100万円台が目安。道路幅・アスベスト・残置物で上がる
  • 残置物は先に片づけたほうが総額が安い
  • 解体補助金は着工前の申請が必須
  • 維持し続けるコストも計算に入れる。決めないことにも費用がかかる
  • 見積りは3社以上・現地確認・内訳ありで

よくある質問

Q. 解体費用が払えない場合、どうすればいいですか?
まず自治体の解体補助金を確認してください。そのうえで、建物付きのまま「古家付き土地」として売る方法があります。買主が解体する前提の価格になりますが、自己資金の持ち出しは避けられます。また、解体費用を売却代金から精算する形に応じる不動産会社もあります。
Q. 解体と売却、どちらを先にすべきですか?
先に不動産会社に相談してください。建物があるほうが売りやすい地域と、更地のほうが売れる地域があります。解体してから売れないと、費用だけが出ていくうえ、固定資産税も上がります。買主が決まってから解体する条件で契約する方法もあります。
Q. 片づけ業者と解体業者は、別々に頼むべきですか?
一般には、片づけを先に済ませてから解体を頼むほうが総額は安くなります。解体業者が家財ごと処分すると、産業廃棄物として単価が上がるためです。ただし手間はかかるので、時間と費用のどちらを優先するかで判断してください。
Q. 売れない実家は、手放す方法がありませんか?
相続土地国庫帰属制度があります。ただし建物がある土地は対象外(解体が必要)で、担保権が設定されている、境界が不明、崖地といった土地も対象外です。審査手数料と負担金もかかります。それ以外に、自治体への寄付が受け入れられる場合もありますが、断られることも多いのが実情です。

「ななえの手帖」でできること

読んだ内容を、そのまま形にできます。登録不要・無料。入力した内容はお使いの端末内にのみ保存され、 外部サーバには送信されません。

この記事を送る

ご家族や、気になっている方に。読んでほしい人に送っておくと、話を切り出しやすくなります。

LINEで送るXに投稿

あわせて読みたい

「実家じまい・空き家」の記事をすべて見る解説記事の一覧を見る

一次情報の確認先

この記事に出てくる制度や数値は、次の機関が公表している情報にもとづいています。 制度は改正されることがあるため、実際の手続きの前に最新の内容をご確認ください。

  • 国土交通省不動産取引・土地の価格・空き家対策
  • 国税庁相続税・贈与税・所得税の取扱い
  • 総務省戸籍・住民票・固定資産税

記事に出てくる言葉の意味は用語集にまとめています

登録会員(無料)

会員特典「手帖の道具箱」をお届けします

読んで終わりにせず、手を動かすところまで。無料の登録会員になると、印刷して書き込める4枚をお届けします。

  • もしもの頁 冊子版もしもの時にご家族が行う手続きを、期限順に並べた一冊。連絡先の記入欄つき。
  • 終活の棚卸しシート財産と契約を一年に一度書き出すためのシート。去年からの変化を追えます。
  • 贈与契約書のひな形生前贈与の「言った・言わない」を残さないための契約書。記入して2通作れます。
  • デジタル遺品チェックリストスマホ・アカウント・サブスクの棚卸しと、故人アカウント管理人の設定手順。

あわせて、年に一度「そろそろ手帖の更新を」とお声がけします。 財産も家族の連絡先も制度も一年で変わるので、思い出すきっかけがあるだけで手帖は生き続けます。

このサイトのエンディングノートと相続税の概算計算は、登録なしで無料でお使いいただけます。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。