エンディングノートの書き方

エンディングノートと遺言書の違い|法的効力・費用・使い分け

エンディングノートと遺言書は役割がまったく違います。法的効力・書ける内容・費用・保管方法を表で比較し、「どちらが必要か」「両方書くなら何をどちらに書くか」を具体的に整理しました。

約5分で読めます・2026-09-05 公開

この記事の要点

  • 法的な効力があるのは遺言書だけで、エンディングノートは希望や情報を伝えるためのものです。
  • エンディングノートは書き方が自由でいつでも書き直せますが、遺言書は方式を誤ると無効になります。
  • 財産の分け方を確定させたい、相続人以外に財産を渡したい、相続人が揉めそうといった場合は遺言書を検討します。
  • 書く順番はノートが先でよく、書き出した財産の一覧がそのまま遺言書の下書きになります。
  • 遺言書を作ったら、その存在と保管場所をエンディングノートに書き残しておきます。

エンディングノートと遺言書は、どちらも「自分の意思を残すもの」ですが、役割はまったく違います。ひとことで言えば、遺言書は財産の分け方を法的に決める書類、エンディングノートは家族が困らないように情報と気持ちを伝えるものです。どちらか一方では足りない場面が多く、使い分けが大切になります。

比較表|違いは「法的効力」と「書ける自由度」#

エンディングノート遺言書
法的効力なしあり(民法の方式に従った場合)
書ける内容制限なし(情報・希望・気持ち)法律で定められた事項が中心(相続分の指定、遺贈、遺言執行者の指定など)
書き方の決まりなし。様式自由厳格。方式を誤ると無効になる
費用基本的に無料自筆証書は無料。公正証書は財産額に応じた手数料
書き直しいつでも自由いつでも可能(方式に従う必要あり)
向いていること口座や契約のありか、医療・葬儀の希望、家族へのメッセージ誰にどの財産を渡すかの指定、相続人以外への遺贈

エンディングノートに「法的効力がない」とはどういうことか#

エンディングノートに「自宅は長男に」と書いても、その記載だけで長男のものになるわけではありません。財産の分け方は、遺言書があればそれに従い、なければ相続人全員の遺産分割協議で決まります。エンディングノートは、その話し合いの場で故人の希望として尊重される材料にはなりますが、拘束力はありません。

ただし、これは欠点ばかりではありません。方式の決まりがないので、思いついたことを自由に、何度でも書き直せます。「財産の分け方を確定させたいのか」「情報と気持ちを伝えたいのか」で選ぶ、と考えると分かりやすくなります。

こんな場合は遺言書を検討する#

次のようなケースでは、エンディングノートだけでは希望が実現しない可能性が高く、遺言書の作成を検討する価値があります。

  • 相続人以外に財産を渡したい(内縁のパートナー、孫、お世話になった人、団体への寄付)
  • 法定相続分と違う分け方をしたい(自宅は同居の子に、預金は別の子に、など)
  • 相続人の間で話し合いがまとまりにくい事情がある(疎遠、感情的な対立、遠方に住んでいる)
  • 主な財産が分けにくい(自宅や事業用の不動産が財産の大半を占める)
  • 相続人がいない、または人数が多い(兄弟姉妹やその子が相続人になるケースは、話し合いの負担が大きくなりがちです)

遺言書の主な種類#

自筆証書遺言

本文を自分で手書きし、日付と氏名を書いて押印します。費用がかからず、いつでも作成できるのが利点です(自筆証書遺言の書き方)。一方で、方式を誤ると無効になる、紛失や改ざんのおそれがある、といった弱点があります。財産目録については、通帳のコピーなどを添付する形で手書きによらない方法も認められています。

また、法務局に自筆証書遺言を預けられる保管制度があります。紛失や改ざんを防げるうえ、この制度を使った場合は家庭裁判所の検認が不要になります。

公正証書遺言

公証人が関与して作成する遺言です。方式の不備で無効になるおそれが小さく、原本が公証役場に保管されるため紛失・改ざんの心配もありません。検認も不要です。財産額に応じた手数料と、証人2人が必要になります。確実性を優先するなら、こちらが有力な選択肢です(公正証書遺言の作り方)。

両方書くなら|何をどちらに書くか#

実務でおすすめしやすいのは、遺言書で「分け方」を決め、エンディングノートで「情報と気持ち」を伝えるという分担です。遺言書に日常的な情報まで詰め込むと、書き直しが大変になります。

書く内容書く場所
自宅を誰に相続させるか遺言書
相続人以外への遺贈・寄付遺言書
遺言執行者を誰にするか遺言書
預金口座・証券口座・保険のありかエンディングノート
ローン・保証・サブスクなどの契約エンディングノート
スマホやネットサービスの扱いエンディングノート
延命治療・介護の希望エンディングノート
葬儀・お墓の希望、連絡してほしい人エンディングノート
なぜその分け方にしたかの理由エンディングノート(または遺言書の付言事項)
家族へのメッセージエンディングノート

分け方の理由を言葉で残しておくと、遺言書の内容に納得してもらいやすくなり、争いの予防にもつながります。遺言書の末尾に書く「付言事項」でも同じことができますが、長く書きたい場合はエンディングノートのほうが向いています。

まずは情報の棚卸しから。9項目のフォームに沿って、書ける欄から書き始められます。

エンディングノートを書き始める

書く順番は「ノートが先」でよい#

遺言書を作るには、まず自分にどんな財産があるかを把握する必要があります。エンディングノートで資産・負債を書き出す作業は、そのまま遺言書づくりの下準備になります。書き出した財産額から相続税の概算を確認しておけば、納税資金まで含めて分け方を考えられます。

よくある質問

Q. エンディングノートが遺言書として認められることはありますか?
原則として認められません。ただし、たまたま自筆証書遺言の方式(全文の自書・日付・氏名・押印)をすべて満たしていた場合には、遺言として扱われる余地があります。狙って書くものではないため、分け方を確定させたいなら遺言書を別に作成してください。
Q. 遺言書とエンディングノートの内容が食い違ったらどうなりますか?
財産の分け方については遺言書が優先します。混乱を避けるため、分け方に関する記載はエンディングノートには書かず、遺言書に一本化するか、ノートには「遺言書のとおり」と書いておくのが安全です。
Q. 遺言書はどこに保管すればよいですか?
自筆証書遺言は法務局の保管制度を利用すると紛失・改ざんを防げ、検認も不要になります。公正証書遺言は原本が公証役場に保管されます。いずれの場合も、「遺言書があること」と「保管場所(または制度を使ったこと)」をエンディングノートに書き残しておいてください。
Q. 費用をかけずに始めるなら何からすべきですか?
まずエンディングノートで財産・契約・連絡先を書き出すことをおすすめします。無料で始められ、遺言書を作る際の資料としてもそのまま使えます。分け方に迷いが出た段階で、税理士や司法書士・弁護士に相談すると効率的です。

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  • 法務省相続・遺言・登記の制度
  • 国税庁相続税・贈与税・所得税の取扱い

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。