葬儀・お墓の希望の残し方|家族が数日で決めることを、先に決めておく
葬儀の形式・規模・宗派・連絡先、お墓や納骨の方針など、家族が亡くなってから数日で決めなければならないことを整理しました。何をどこまで書き残せば家族が迷わないかを、チェックリスト形式で解説します。
約4分で読めます・2026-09-05 公開
この記事の要点
- 葬儀は亡くなってから数日のうちに形が決まります。「こだわらないので任せる」と書いてあるだけでも、家族は決めやすくなります。
- 最も見落とされやすく、あとから修正がきかないのが宗派と菩提寺です。相談せずに葬儀を済ませると、納骨を断られることがあります。
- 互助会や葬儀の生前契約に加入しているなら、契約先・会員番号・書類の保管場所を必ず書き残します。知られないままだと使われません。
- お墓は「どこに納めてほしいか」と「その後の管理をどうするか」の2つを書いておくと、家族が判断できます。
- 葬儀費用は喪主が立て替えることが多く、故人の口座は凍結されています。遺産分割前でも一定額まで払い戻せる預貯金の仮払い制度が使えることも書いておきます。
葬儀は、亡くなってから数日のうちに形が決まります。家族は、悲しみのなかで、限られた時間で、しかも比較検討する余裕もないまま決断することになります。「本人はどうしてほしかったのだろう」と迷ったまま進め、あとから「あれでよかったのか」と悩み続ける——これは実際によくあることです。
希望を書き残すことは、豪華な葬儀を望むためのものではありません。家族が迷わずに済むようにするためのものです。「こだわらないので任せる」と書いてあるだけでも、家族は救われます。
葬儀について決めておきたいこと#
規模と形式
| 形式 | 内容 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 一般葬 | 通夜と葬儀・告別式を行い、広く参列を受ける | 仕事や地域のつながりが広い |
| 家族葬 | 家族・親しい人だけで行う | 静かに見送りたい/高齢で交友が限られる |
| 一日葬 | 通夜を省き、葬儀・告別式のみ | 遠方の親族の負担を減らしたい |
| 直葬(火葬式) | 通夜・告別式を行わず火葬のみ | 簡素にしたい |
費用は形式・地域・参列人数で大きく変わります。金額の希望がある場合は「○○万円程度で」と書いておくと目安になります。
宗教・宗派と菩提寺
見落とされやすく、しかもあとから修正がきかないのが宗派と菩提寺です。先祖代々のお墓がある寺院(菩提寺)に相談せずに葬儀を済ませてしまうと、納骨を断られるといったトラブルにつながることがあります。宗派、菩提寺の名称と連絡先、これまでの付き合い方まで書いておいてください。
- 宗派(例:浄土真宗本願寺派)
- 菩提寺・教会などの名称、住所、連絡先
- 戒名を希望するか、こだわらないか
- 宗教にはこだわらない(無宗教葬でよい)かどうか
連絡してほしい人
家族が把握していない交友関係は必ずあります。学生時代の友人、以前の職場の同僚、趣味の仲間。名前と連絡先のリストがあるかどうかで、訃報が届く範囲が変わります。「葬儀のときに知らせてほしい人」と「あとで手紙で知らせればよい人」を分けて書いておくと、より親切です。
細かいけれど、あると助かること
- 遺影に使ってほしい写真(データの場所、またはプリントの保管場所)
- 流してほしい音楽、飾ってほしい花
- 副葬品として入れてほしいもの
- 喪主を誰にお願いしたいか
- 互助会や葬儀の生前契約に加入しているか(加入していれば必ず書いてください。知られないままだと使われません)
- 香典・供花を受けるかどうか
お墓・納骨について決めておきたいこと#
お墓は葬儀ほど急ぎませんが、選択肢が増えたぶん、家族だけでは決めにくくなっています。「どこに納めてほしいか」と「その後の管理をどうするか」の2つを書いておくと、家族は判断できます。
| 方法 | 内容 | 考えておくこと |
|---|---|---|
| 先祖代々の墓に納骨 | 既存の家墓に入る | 管理する人(承継者)を誰にするか |
| 新しくお墓を建てる | 墓地を求めて建立する | 費用と、将来の管理 |
| 納骨堂 | 屋内の施設に納める | 契約期間と、期間後の扱い |
| 樹木葬 | 樹木や草花を墓標とする | 個別か合祀か、改葬の可否 |
| 永代供養 | 寺院・霊園が管理・供養を続ける | 合祀の時期 |
| 散骨 | 海洋などに撒く | 手元供養と併用するか、家族の心情 |
承継者と、墓じまい
お墓を継ぐ人がいない、遠方で管理できない、という悩みは増えています。将来の負担を家族に丸ごと預けたくない場合は、永代供養や墓じまいの意向をあらかじめ書いておくことをおすすめします。「無理に維持しなくてよい」というひとことが、家族の重荷を下ろすことがあります。
費用の話も、書いておいたほうがいい#
葬儀費用は、いったん喪主が立て替えることが多く、故人の口座は凍結されて使えないのが通常です。次の点を書いておくと、家族が資金面で慌てずに済みます。
- 葬儀費用に充ててよい財産(保険金、特定の口座など)
- 加入している葬祭費の給付制度(健康保険の葬祭費・埋葬料など)
- 預貯金の仮払い制度が使えること(遺産分割前でも一定額まで払い戻せます)
なお、葬式費用は相続税の計算上、原則として財産から差し引けます(香典返しの費用など、対象外のものもあります)。詳しくは相続税の計算方法をご覧ください。
「ななえの手帖」には、葬儀・お墓の希望を書く専用の欄があります。決まっていない項目は空欄のままでかまいません。
葬儀・お墓の希望を書き残す書いたら、必ず「ある場所」を伝える#
葬儀の希望は、亡くなった直後に読まれなければ意味がありません。仏壇の引き出しや金庫の奥では間に合わないことがあります。家族の誰か1人に、ノートの場所を伝えておくこと。これだけで、書いた内容が実際に生きます。
よくある質問
- Q. 葬儀の希望を書いても、そのとおりにしてもらえますか?
- エンディングノートに法的な効力はないため、必ずそのとおりになるとは限りません。ただし、葬儀は家族が短時間で決めるものなので、実際には希望が強く尊重される場面が多い項目です。
- Q. 「家族葬にしてほしい」と書くと、失礼になりませんか?
- 失礼にはあたりません。むしろ、本人の意向が明示されていれば、家族が周囲に説明しやすくなります。後日あらためて知らせたい人のリストを添えておくと、より丁寧です。
- Q. お墓を継ぐ人がいません。どう書けばよいですか?
- 永代供養や納骨堂、樹木葬など、承継を前提としない方法の希望を書いておくとよいでしょう。既存のお墓がある場合は「墓じまいをしてよい」という意向を書いておくと、家族が判断しやすくなります。実行には費用がかかるため、その資金の目処も併せて残せると理想的です。
- Q. 葬儀費用は相続税の計算で差し引けますか?
- 通夜・告別式の費用、火葬・埋葬の費用、お寺への読経料などは、原則として相続財産から差し引けます。一方、香典返しの費用、初七日や法事の費用、墓地・墓石の購入費用は対象外とされています。
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。