実家じまい・空き家

実家の相続登記(名義変更)の進め方|必要書類・費用・3年の期限

実家を相続したら、まず名義変更(相続登記)が必要です。2024年から3年以内の申請が義務化されました。必要書類の集め方、登録免許税の計算、自分でやる場合と司法書士に頼む場合、間に合わないときの相続人申告登記まで解説します。

約5分で読めます・2026-09-06 公開

この記事の要点

  • 2024年4月から相続登記が義務化され、不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になります。
  • 登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。
  • 必要書類は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍と住民票、遺産分割協議書と印鑑証明書、固定資産評価証明書などです。
  • 相続人が少なく不動産も1件なら自分でも申請できます。法務局は予約制の登記相談を行っています。
  • 3年に間に合わないときは相続人申告登記で過料を回避できますが、これは所有権の登記ではないため売却はできません。

実家を相続したら、まず名義を変える。これが実家じまいの出発点です。

売るにも、壊すにも、貸すにも、名義が亡くなった方のままでは何もできません。そして2024年4月から、この相続登記が義務になりました。

「祖父名義のまま」に心当たりはありませんか#

義務化でいちばん影響が大きいのが、過去の相続で放置されている不動産です。

祖父が亡くなったときに登記をせず、父もそのまま。こうなると、まず祖父から父への相続登記をして、それから父から自分への登記をする、という二段階の手続きが必要になります。関係者も増えています。

固定資産税の納税通知書に載っている名義を、一度確認してみてください。心当たりがあれば、早いほど手続きは楽です。

全体の流れ#

  1. 不動産を特定する — 登記事項証明書、固定資産税の課税明細書、名寄帳
  2. 相続人を確定する — 被相続人の出生から死亡までの戸籍を集める
  3. 遺言書の有無を確認する — あればその内容に従う
  4. 誰の名義にするか決める — 遺産分割協議
  5. 書類を集める
  6. 登記申請書を作り、法務局に申請する
  7. 完了。登記識別情報通知を受け取る

書類集めに1〜2か月、申請から完了までは1〜2週間程度が目安です。

必要書類#

遺産分割協議で決める場合(最も多いパターン)

書類取得先
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式本籍地の市区町村(広域交付も可)
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票最後の住所地の市区町村
相続人全員の戸籍謄本各相続人の本籍地
不動産を取得する人の住民票住所地の市区町村
遺産分割協議書(相続人全員の実印)自分たちで作成
相続人全員の印鑑証明書住所地の市区町村
固定資産評価証明書不動産所在地の市区町村
登記申請書自分で作成(法務局に様式あり)

戸籍集めが楽になりました

戸籍の広域交付が始まり、本籍地が遠方でも最寄りの市区町村の窓口でまとめて請求できるようになりました。

ただし、請求できる人が限られる、コンピュータ化されていない古い戸籍は対象外、といった制限があります。窓口で確認してください。

費用#

項目金額
登録免許税固定資産税評価額 × 0.4%
戸籍・住民票などの取得費数千円〜1万円程度
司法書士報酬(依頼する場合)数万円〜十数万円程度

評価額1,000万円の不動産なら、登録免許税は4万円です。

価額が低い土地の相続登記について、登録免許税の免税措置が設けられています。適用期限や要件があるため、該当しそうな場合は法務局や司法書士にご確認ください。

自分でやるか、司法書士に頼むか#

自分でやる司法書士に依頼
費用実費のみ報酬が加わる
期間書類集めに時間がかかる早い
向いている場合相続人が少ない/不動産が1件/遺言書がある相続人が多い/数次相続/不動産が複数の市区町村にある/農地や借地がある

相続人が配偶者と子1人、不動産は自宅だけ。こういうケースなら、法務局の窓口相談(予約制)を使いながら自分で進めることも十分可能です。

一方、祖父名義のまま、相続人が疎遠で連絡が取れない、共有者が多いといった場合は、最初から専門家に頼むほうが結果的に早く安く済みます。

3年に間に合わないとき|相続人申告登記#

遺産分割がまとまらず、誰の名義にするか決められない。よくあることです。

その場合のために、相続人申告登記という簡易な手続きがあります。「自分が相続人である」ことを法務局に申し出るだけで、いったん義務を果たしたことになります。

  • 単独で申請できる(他の相続人の協力は不要)
  • 添付書類は、自分が相続人であることが分かる戸籍で足りる
  • 登録免許税はかからない
  • ただしこれは所有権の登記ではありません。売却はできません

あくまで過料を避けるための応急措置です。分割が決まったら、その日から3年以内に本来の相続登記をする必要があります。

よくあるつまずき#

① 権利証(登記識別情報)が見つからない

相続登記には権利証は不要です。 慌てなくて大丈夫です。必要になるのは、その後に売却するときで、そのときは自分名義の新しい登記識別情報を使います。

② 私道や田畑が漏れていた

固定資産税がかからない私道は、納税通知書に載らないことがあります。名寄帳(市区町村で取得)を取ると、その市区町村内の所有不動産を一覧で確認できます。

登記漏れがあると、売却時に発覚してやり直しになります。必ず名寄帳で確認してください。

③ とりあえず共有名義にしてしまう

決められないからと兄弟の共有にするのは、問題の先送りです。売るにも貸すにも全員の同意が要り、次の代では共有者がさらに増えます。詳しくは実家の相続で兄弟が揉めるパターンをご覧ください。

④ 農地が含まれていた

農地は相続登記に加えて、農業委員会への届出が必要です。詳しくは実家の農地・山林を相続したらをご覧ください。

実家にどんな不動産があるか、まず一覧にするところから。無料・登録不要で、入力内容は端末内にのみ保存されます。

実家の情報を書き出す

まとめ#

  • 相続登記は取得を知った日から3年以内が義務。過去の相続も対象
  • 名寄帳で漏れを確認する。私道や田畑が抜けやすい
  • 法定相続情報一覧図を作ると、他の手続きと並行して進められる
  • 登録免許税は評価額の0.4%
  • 間に合わないときは相続人申告登記で過料を回避できる(売却はできません)
  • とりあえず共有は避ける

よくある質問

Q. 相続登記をしないと、どうなりますか?
正当な理由なく3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象になります。それ以上に実務的な問題として、売却も担保設定もできず、放置するほど相続人が増えて手続きが難しくなります。
Q. 相続人の1人が協力してくれません。
遺産分割協議には全員の合意が必要なので、そのままでは名義を確定できません。まず相続人申告登記で義務を果たしたうえで、家庭裁判所の遺産分割調停を検討することになります。早めに弁護士へご相談ください。
Q. 相続登記は自分でできますか?
相続人が少なく不動産も1件なら、十分可能です。法務局は予約制の登記相談を行っており、申請書の書き方を教えてもらえます。ただし数次相続や不動産が複数の市区町村にまたがる場合は、司法書士に依頼したほうが確実です。
Q. 登記が済んだら、すぐ売れますか?
売れます。ただし、境界が確定していない、抵当権が残ったまま、といった問題があると売却が滞ります。登記と並行して、境界の状況と抵当権の抹消状況も確認しておいてください。

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一次情報の確認先

この記事に出てくる制度や数値は、次の機関が公表している情報にもとづいています。 制度は改正されることがあるため、実際の手続きの前に最新の内容をご確認ください。

  • 国土交通省不動産取引・土地の価格・空き家対策
  • 国税庁相続税・贈与税・所得税の取扱い
  • 総務省戸籍・住民票・固定資産税

記事に出てくる言葉の意味は用語集にまとめています

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。