実家じまい・空き家

実家の売却の流れ|査定から引渡しまでの手順と必要書類

実家を売るまでの流れを、査定・媒介契約・販売活動・売買契約・引渡し・確定申告の6段階で解説します。3種類の媒介契約の違い、必要書類の一覧、古い家で気をつけたい契約不適合責任と告知書の書き方までまとめました。

約6分で読めます・2026-09-06 公開

この記事の要点

  • 実家の売却は、査定・媒介契約・販売活動・売買契約・決済引渡し・確定申告の6段階で進みます。
  • 査定は3社程度に依頼し、金額そのものより算出の根拠を比べます。
  • 媒介契約は一般・専任・専属専任の3種類で、地方の空き家は専任のほうが業者が動きやすいことが多いです。
  • 古い家では契約不適合責任が問題になります。雨漏りやシロアリを知りながら告知書に書かずに売ると、後から責任を問われます。
  • 仲介手数料は売買価格400万円超の場合、価格の3%+6万円+消費税が上限です。売った翌年は税額がゼロでも確定申告が必要です。

実家を売ると決めたら、次は手順です。売却は3か月から半年かかるのが普通で、思っているより時間が要ります。

また、空き家の3,000万円特別控除には売却期限があります。使うつもりなら、逆算して動き出す必要があります。

全体の流れ#

  1. 準備 — 相続登記、境界の確認、片づけ
  2. 査定 — 複数社に依頼する
  3. 媒介契約 — 不動産会社と契約する
  4. 販売活動・内覧
  5. 売買契約 — 手付金を受け取る
  6. 決済・引渡し — 残代金と同時に登記
  7. 確定申告 — 売った翌年

① 査定|必ず複数社に#

査定は多くの会社で無料です。必ず3社程度に依頼してください。同じ物件でも価格が数百万円違うことは普通にあります。

  • 机上査定 — 資料だけで概算を出す。早い
  • 訪問査定 — 現地を見て精度を上げる。実際に売るならこちら

査定額の高い会社が良い会社とは限りません

媒介契約を取るために、あえて高い査定額を出す会社があります。売り出してみて売れず、結局値下げを繰り返す、という展開になりがちです。

見るべきは金額そのものより、根拠です。近隣の成約事例を示せるか、その価格で売れる理由を説明できるか。ここで会社の質が分かります。

  • 地元の会社は、その地域の需要と買い手のあてを持っていることがある
  • 大手は、広告網と全国の顧客基盤が強い
  • 両方に依頼して比べるのが現実的です

② 媒介契約|3種類の違い#

一般媒介専任媒介専属専任媒介
複数社に依頼できるできないできない
自分で買主を見つけるできるできるできない
レインズへの登録義務なし7日以内5日以内
活動状況の報告義務なし2週間に1回以上1週間に1回以上
契約期間法律上の制限なし(行政指導で3か月)3か月以内3か月以内

専任・専属専任は、その会社が責任を持って動いてくれる反面、囲い込み(他社の買主を紹介しない行為)のリスクがあります。一般媒介は複数社が競いますが、どこも本腰を入れないこともあります。

売れやすい物件なら一般媒介、手間のかかる物件なら専任媒介、というのが一つの目安です。地方の空き家は、熱心に動いてくれる1社に専任で任せたほうが結果が出ることが多いです。

③ 必要書類#

書類備考
登記識別情報(権利証)相続登記後に発行されたもの
実印・印鑑証明書発行から3か月以内を求められることが多い
本人確認書類運転免許証など
固定資産税の納税通知書税額の精算に使う
測量図・境界確認書あれば。なければ測量が必要になることも
建築確認済証・検査済証古い家では見つからないことが多い
購入時の売買契約書譲渡所得の取得費に使う。最重要
物件状況報告書(告知書)売主が記入する
付帯設備表設備の有無と不具合を記入

④ 販売活動と内覧#

空き家の場合、内覧の準備が売れ行きを左右します。

  • 電気と水道は止めない — 照明がつかない家は暗く、印象が悪くなります
  • 換気しておく — 閉め切った家は独特のにおいがこもります
  • 草木を刈っておく — 外観の印象で判断されます
  • 残置物は片づける — がらんとしているほうが広く見えます
  • 雨漏りやシロアリは隠さない — 後で必ず問題になります

⑤ 売買契約|古い家で最も注意すべき点#

築古の実家を売るとき、いちばんのリスクが契約不適合責任です。

引き渡した物件が契約の内容に適合していなければ、買主から修補・代金減額・損害賠償・契約解除を求められる可能性があります。雨漏り、シロアリ、給排水管の故障、地中の埋設物などが典型です。

個人の売主は、特約で調整できます

個人が売主の場合、契約不適合責任を免責とする、または期間を「引渡しから3か月」などに限定する特約を付けるのが一般的です。相続した古い家では、この特約を付けてもらうよう不動産会社に相談してください。

告知書に書くこと

  • 雨漏り、シロアリ被害、給排水設備の不具合の有無と履歴
  • 建物の傾き、増改築やリフォームの履歴
  • 境界の紛争、越境物(隣家の木の枝、屋根、給排水管)
  • 過去の火災・浸水
  • 事件や事故があったかどうか(心理的瑕疵)
  • 近隣の状況(騒音、におい、嫌悪施設)

⑥ 決済・引渡し#

通常、金融機関の一室で、買主・売主・不動産会社・司法書士が集まって行います。

  1. 司法書士が書類を確認する
  2. 買主が残代金を支払う
  3. 固定資産税を日割りで精算する(1月1日の所有者に課税されるため、引渡し日以降の分を買主が負担するのが商慣行)
  4. 仲介手数料の残額を支払う
  5. 鍵を引き渡す
  6. 司法書士が法務局に登記を申請する

⑦ 翌年の確定申告を忘れずに#

売った翌年の2月16日から3月15日までに、譲渡所得の申告をします。

売れないときに考えること#

  1. 価格を見直す — 3か月動きがなければ、価格が市場と合っていない可能性が高い
  2. 媒介契約を変える — 会社を変える、契約形態を変える
  3. 古家付き土地として売り出す — 解体費用を買主負担にする前提の価格
  4. 買取を検討する — 価格は下がるが、確実に早く手放せる
  5. 空き家バンクに登録する — 自治体の仕組み。改修補助が付く例もあります
  6. 隣地の所有者に打診する — 土地を広げたい隣人が買い手になることは実際にあります

それでも難しい場合の選択肢は空き家になった実家をどうするかにまとめています。

売却の前に、実家にある財産と書類の場所を整理しておくと手続きが早くなります。無料・登録不要です。

実家の情報を書き出す

まとめ#

  • 売却には3か月〜半年。特例の期限から逆算して動く
  • 査定は3社程度。金額より根拠を見る
  • 媒介契約は3種類。地方の空き家は専任が動きやすいことが多い
  • 購入時の売買契約書を探す。税額が大きく変わる
  • 契約不適合責任は免責特約で調整できるが、知っていることは全部告知する
  • 売った翌年の確定申告を忘れずに(税額ゼロでも必要)

よくある質問

Q. 不動産会社はどう選べばいいですか?
査定額の高さではなく、根拠を説明できるかで判断してください。近隣の成約事例を示せるか、その価格で売れる理由を語れるか。加えて、相続案件の経験があるか、空き家の取り扱いに慣れているかも聞いてみるとよいでしょう。
Q. 相続人が複数いる場合、全員が立ち会う必要がありますか?
共有のまま売る場合、原則として共有者全員が契約と決済に関与します。遠方の方がいる場合は、代表者に委任状を出す方法があります。あらかじめ不動産会社と司法書士に相談し、書類の準備を進めてください。
Q. 境界が確定していません。売れませんか?
売れないわけではありませんが、買主から確定測量を求められるのが一般的です。隣地所有者の立会いと同意が必要で、数か月かかることもあります。売却を考え始めた時点で、境界標の有無と測量図の所在を確認しておいてください。
Q. 仲介手数料はいつ払いますか?
売買契約時に半額、引渡し時に残額、という形が一般的です。売買価格400万円超の場合、価格の3%+6万円+消費税が上限です。なお、空き家対策として低額な物件については上限が引き上げられています。

「ななえの手帖」でできること

読んだ内容を、そのまま形にできます。登録不要・無料。入力した内容はお使いの端末内にのみ保存され、 外部サーバには送信されません。

この記事を送る

ご家族や、気になっている方に。読んでほしい人に送っておくと、話を切り出しやすくなります。

LINEで送るXに投稿

あわせて読みたい

「実家じまい・空き家」の記事をすべて見る解説記事の一覧を見る

一次情報の確認先

この記事に出てくる制度や数値は、次の機関が公表している情報にもとづいています。 制度は改正されることがあるため、実際の手続きの前に最新の内容をご確認ください。

  • 国土交通省不動産取引・土地の価格・空き家対策
  • 国税庁相続税・贈与税・所得税の取扱い
  • 総務省戸籍・住民票・固定資産税

記事に出てくる言葉の意味は用語集にまとめています

登録会員(無料)

会員特典「手帖の道具箱」をお届けします

読んで終わりにせず、手を動かすところまで。無料の登録会員になると、印刷して書き込める4枚をお届けします。

  • もしもの頁 冊子版もしもの時にご家族が行う手続きを、期限順に並べた一冊。連絡先の記入欄つき。
  • 終活の棚卸しシート財産と契約を一年に一度書き出すためのシート。去年からの変化を追えます。
  • 贈与契約書のひな形生前贈与の「言った・言わない」を残さないための契約書。記入して2通作れます。
  • デジタル遺品チェックリストスマホ・アカウント・サブスクの棚卸しと、故人アカウント管理人の設定手順。

あわせて、年に一度「そろそろ手帖の更新を」とお声がけします。 財産も家族の連絡先も制度も一年で変わるので、思い出すきっかけがあるだけで手帖は生き続けます。

このサイトのエンディングノートと相続税の概算計算は、登録なしで無料でお使いいただけます。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。