エンディングノートの書き方

大切な人へのメッセージの書き方|何を書けばよいか迷ったときに

エンディングノートで最後まで空欄になりやすいのが、家族へのメッセージ欄です。書き出しに困ったときの型、具体的なエピソードの選び方、書かないほうがよいこと、そして遺言書の付言事項との違いまでまとめました。

約4分で読めます・2026-09-06 公開

この記事の要点

  • メッセージ欄は「立派なことを書く場所」ではありません。名前を呼び、具体的な場面を1つ挙げ、伝えたいことを一言。この3つで十分です。
  • 抽象的な「ありがとう」より、いつの何についての感謝かが書かれているほうが、読む人には強く残ります。
  • 恨みごとや責める内容は書かないでください。読んだ人は反論も確認もできず、関係の修正がきかなくなります。
  • 財産の分け方の理由を伝えたい場合は、遺言書の付言事項に書くほうが適しています。エンディングノートに法的な効力はありません。
  • 一度で書き切ろうとせず、思いついたときに書き足す形でかまいません。日付を入れておくと、あとから読む人に届き方が変わります。

財産も、医療の希望も、連絡先も書き終えた。それでも最後まで空欄で残るのが、メッセージの欄です。「何を書けばいいか分からない」「気恥ずかしい」「まだ早い気がする」。理由はさまざまですが、手が止まる人はとても多い項目です。

ただ、遺された家族が何度も読み返すのは、実はこの欄です。財産の一覧は一度使えば役目を終えますが、言葉は残ります。

立派なことを書く必要はありません#

手が止まる原因の多くは、「最後の言葉なのだから、ちゃんとしたことを書かなければ」という思い込みです。人生を総括しようとすると、どこから書いても足りない気がして、結局書けません。

実際に読む側の立場に立つと、求められているのは総括ではありません。その人の声で、その人らしい言葉が残っていることそのものです。

書き出しの型#

迷ったら、次の3つを順に書いてみてください。3行で終わってもかまいません。

  1. 名前を呼ぶ — 「○○へ」。誰に宛てたものかを、はっきりさせます
  2. 具体的な場面を1つ挙げる — 一緒に行った場所、してもらったこと、笑った出来事
  3. 伝えたいことを一言 — ありがとう、ごめん、幸せになってほしい

相手ごとの切り口#

宛先書きやすい切り口
配偶者出会った頃のこと、二人で乗り越えたこと、言えなかった感謝
子生まれたときのこと、心配していること、してほしくないこと
孫自分がどんな人間だったか。会えなくなったあとに読まれることを想定して
きょうだい子どもの頃のこと、親のこと、これからの付き合い方の希望
友人・お世話になった方具体的にどう助けられたか。相手は自覚していないことが多い

「心配していること」「してほしくないこと」も、書いてよい項目です。ただし、指示ではなく気持ちとして書くのがこつです。「無理をしないでほしい」は届きますが、「こうしなさい」は反発を生みます。

自分史という書き方#

手紙の形が難しければ、自分の歩みを年表のように書く方法があります。事実を並べるだけなので、感情を言葉にする必要がありません。

  • 生まれた場所、育った家のこと
  • 学生時代に打ち込んだこと
  • 就いた仕事と、印象に残っている出来事
  • 出会いと、家族が増えたときのこと
  • 楽しかった旅行、好きだった場所

孫の世代にとっては、これがそのまま家族の記録になります。「祖父はどんな人だったのか」に答えられるものは、意外と残っていません。家族の記録。

書かないほうがよいこと#

書くこと以上に大切なのが、書かないと決めることです。

  • 恨みごと、責める内容 — 読んだ人は反論も確認もできません。関係の修正がきかなくなります
  • 特定の人だけを強く持ち上げる書き方 — 他の家族が読んだときにしこりが残ります
  • 財産の分け方の指示 — エンディングノートに法的な効力はありません。遺言書に書いてください
  • パスワードや暗証番号 — メッセージ欄に限らず、ノートには書かないでください

遺言書の「付言事項」との使い分け#

遺言書の末尾には、付言事項という欄を設けられます。法的な効力はありませんが、財産の分け方の理由を本人の言葉で説明できる部分です。

書く場所向いている内容
エンディングノートのメッセージ欄感謝、思い出、これからの願い。分け方とは関係のない気持ち
遺言書の付言事項「長男に自宅を残すのは、母の面倒を見てもらうため」といった、分け方の理由

分け方に差をつける場合、理由が書かれているかどうかで、相続人の受け止め方が変わります。付言事項の書き方は遺言書の文例集でまとめています。

「ななえの手帖」には、家族へ/友人・お世話になった方へ/自分史の3つの欄があります。1行だけ書いて、後日また開く使い方でかまいません。

メッセージを書き残す

一度で書き切らない#

書けるときに、書けるだけ。思いついたら足す。それで十分です。日付を入れておくと、あとから読む人には「このとき、こう思っていたのか」が伝わります。数年後の自分が読み返して、書き直したくなることもあります。それも含めて、書き直せるのがエンディングノートの利点です。

よくある質問

Q. 手紙とエンディングノート、どちらに書くべきですか?
どちらでもかまいません。ノートに書いておけば紛失しにくく、家族が見つけやすいという利点があります。特定の人にだけ読んでほしい内容なら、封をした手紙にして、その存在と場所だけノートに書いておく方法が向いています。
Q. 書いた内容に法的な効力はありますか?
ありません。財産の分け方や、誰かに何かをしてほしいという希望を確実に実現したい場合は、遺言書を作成してください。エンディングノートと遺言書の違いは別の記事で詳しく解説しています。
Q. 家族の仲がよくありません。何を書けばよいでしょうか。
無理に和解を演出する必要はありません。事実として感謝していることが1つでもあれば、それだけを書く形でかまいません。書かないという選択も含めて、本人が決めてよい項目です。ただし、責める内容だけは残さないほうが、双方にとってよい結果になります。
Q. 書いたことを、生前に本人へ伝えてもよいですか?
かまいません。むしろ、伝えられるうちに伝えたほうが、お互いに受け取れるものが多くなります。ノートは、伝えきれなかった分を残しておく場所と考えてください。

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  • 法務省相続・遺言・登記の制度
  • 国税庁相続税・贈与税・所得税の取扱い

記事に出てくる言葉の意味は用語集にまとめています

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