準確定申告の進め方|4か月の期限と、対象になる人
準確定申告は、亡くなった方の所得を相続人が代わりに申告する手続きです。期限は4か月。対象になる人、必要な書類、相続人が複数いる場合の連署、還付を受けられるケース、そして納めた税金や還付金の相続税での扱いまで解説します。
約5分で読めます・2026-09-06 公開
この記事の要点
- 準確定申告は、亡くなった人の1月1日から死亡の日までの所得を相続人が代わりに申告する手続きで、期限は相続の開始を知った日の翌日から4か月以内です。
- 対象になるのは、給与収入が2,000万円を超えていた、給与以外の所得が20万円を超えていた、公的年金等の収入が400万円を超えていた、といった人です。
- 医療費が多くかかっていた場合など、申告すると還付を受けられることがあります。
- 相続人が複数いる場合は原則として連署しますが、別々に提出することもできます。納税額と還付額は相続分に応じて按分されます。
- 亡くなった人の青色申告は引き継がれません。相続人が青色申告をするには、あらためて承認申請が必要です。
準確定申告とは、亡くなった方のその年の所得について、相続人が代わりに行う確定申告です。
通常の確定申告と期限が違い、見落とされやすい手続きです。一方で、申告すると税金が戻ってくるケースも少なくありません。
対象になる人#
生前に確定申告が必要だった方は、原則として準確定申告も必要です。
- 事業所得があった(自営業、フリーランス)
- 不動産所得があった(アパート・駐車場の賃貸)
- 給与収入が2,000万円を超えていた
- 給与以外の所得が20万円を超えていた
- 2か所以上から給与を受けていた
- 公的年金等の収入が400万円を超えていた
- 株式や不動産を売却して利益が出ていた
還付を受けられるケース#
申告義務がなくても、申告すれば税金が戻ってくることがあります。亡くなる前に医療費が多くかかっていた方は、特に確認する価値があります。
| ケース | 内容 |
|---|---|
| 医療費控除 | 死亡の日までに支払った医療費。入院や手術が続いた場合、金額が大きくなります |
| 源泉徴収された税金の精算 | 年金や給与から源泉徴収されていた税金が、年の途中の死亡で払いすぎになっていることがあります |
| 社会保険料控除 | 死亡の日までに支払った国民健康保険料や介護保険料 |
| 生命保険料控除・地震保険料控除 | 同上 |
| 寄附金控除 | 生前に寄附をしていた場合 |
手続きの流れ#
- 所得を把握する — 源泉徴収票、年金の源泉徴収票、帳簿、取引報告書
- 控除の資料を集める — 医療費の領収書、保険料の控除証明書
- 確定申告書を作成する — 通常の様式に「準確定」と記載します
- 付表を作成する — 相続人全員の氏名・住所・相続分などを記載
- 被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署に提出する
- 納付または還付を受ける
提出先は相続人の住所地ではなく、亡くなった方の住所地を所轄する税務署です。間違えやすいところです。
相続人が複数いる場合
原則として、相続人全員が連署して1通を提出します。
他の相続人と連絡が取れないなどの事情があれば、各人が別々に提出することもできます。その場合、提出した内容を他の相続人に通知する必要があります。
納税額や還付額は、各相続人が相続分に応じて負担・受領します。
相続税との関係#
準確定申告の結果は、相続税の計算にも影響します。
| 項目 | 相続税での扱い |
|---|---|
| 準確定申告で納付した所得税・住民税 | 債務控除の対象(財産から差し引ける) |
| 準確定申告による還付金 | 相続財産として課税対象 |
| 還付金に対する還付加算金 | 受け取った相続人の雑所得 |
「還付を受けたら相続財産が増えて相続税が上がるのでは」と気にされる方がいますが、還付を受けないほうが損です。還付金額の全額に相続税がかかるわけではありません。
不動産所得があった場合の注意#
アパートや駐車場を持っていた方の場合、いくつか特有の論点があります。
- 死亡の日までの家賃が被相続人の所得、それ以降は相続人の所得になります
- 青色申告の承認は引き継がれません。相続人が青色申告をするには、あらためて承認申請が必要です
- 青色申告承認申請書の期限は、死亡の時期によって異なります(死亡が1〜8月なら死亡日から4か月以内など)
- 減価償却は、被相続人の取得価額と経過年数を引き継ぎます
消費税の準確定申告#
事業をしていた方で消費税の課税事業者だった場合、消費税の準確定申告も必要です。期限は同じく4か月以内です。
また、事業を引き継ぐ相続人は、インボイス登録を含めて自分で手続きをする必要があります。被相続人の登録番号は引き継げません。
この手続きを忘れるとどうなるか#
- 無申告加算税と延滞税がかかります
- 還付を受けられたはずの税金を取り逃がします(還付申告は5年以内なら可能ですが、気づかなければそれまでです)
- 相続税の債務控除に反映されず、相続税を多く払うことになる可能性があります
10か月の相続税申告に気を取られて、4か月の準確定申告を忘れる。よくあるパターンです。期限の早いほうから片づけるのが原則です。
事業所得や不動産所得の有無、取引先や顧問税理士の連絡先。書き残しておくと、遺族が期限内に動けます。無料・登録不要です。
所得と契約の情報を書き残すまとめ#
- 期限は知った日の翌日から4か月。3月15日ではない
- 対象期間は1月1日から死亡の日まで
- 提出先は亡くなった方の住所地の税務署
- 医療費控除で還付を受けられることが多い。領収書を集める
- 納付した税額は債務控除、還付金は相続財産
- 賃貸を引き継ぐなら、青色申告の承認申請を忘れずに
よくある質問
- Q. 準確定申告は必ず必要ですか?
- 生前に確定申告が必要だった方は必要です。年金収入400万円以下で他の所得が20万円以下といった場合は原則不要ですが、医療費が多くかかっていたなら申告して還付を受けられることがあります。まず源泉徴収票と医療費の領収書を確認してください。
- Q. 相続人の1人が協力してくれません。
- 原則は連署ですが、各相続人が別々に提出することもできます。その場合、提出した内容を他の相続人に通知する必要があります。納税額・還付額は相続分に応じて按分されます。
- Q. 4か月を過ぎてしまいました。
- 納税が必要な場合、無申告加算税と延滞税がかかります。できるだけ早く申告してください。自主的に申告すれば加算税が軽減される場合があります。逆に還付になる場合は、5年以内であれば還付申告ができます。
- Q. 亡くなった年の住民税はどうなりますか?
- 住民税は前年の所得に対して翌年度に課税される仕組みです。亡くなった年の1月1日に生存していれば、その年度の住民税は課税されます。未納分は相続人が納付し、相続税の計算では債務控除の対象になります。死亡した年の所得に対する住民税は課税されません。
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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。