仏壇・神棚・お墓の処分|実家じまいで避けて通れない手順と費用
実家じまいで必ずぶつかるのが仏壇・位牌・神棚・お墓の扱いです。閉眼供養の意味、仏壇と位牌の処分方法、墓じまい(改葬)の手続きと必要書類、離檀料をめぐるトラブルの避け方、費用の目安までまとめました。
約5分で読めます・2026-09-06 公開
この記事の要点
- 仏壇・位牌・神棚・お墓は、処分の前にまず誰が引き継ぐかを決めます。
- 仏壇の処分費用は大きさによりますが2万〜8万円程度で、新しい仏壇を買う場合は引き取りが無料または割安になることがあります。
- 墓じまい(改葬)には市区町村が発行する改葬許可証が必要で、費用は1㎡あたり10万〜15万円程度、合計では数十万円から100万円台になるのが一般的です。
- 離檀料に法的な支払い義務はありませんが、事前の相談なく進めるとこじれやすいため、伝える順番を守ります。
- 新しい納骨先の目安は、永代供養墓が10万円台から、納骨堂と樹木葬が数十万円からです。
実家じまいで、多くの方が最後まで手をつけられないのが仏壇とお墓です。
ものとしては処分できても、気持ちの整理がつかない。加えて、手順を誤ると菩提寺との関係がこじれるという難しさがあります。この記事では、実務の手順と、こじれないための進め方をまとめます。
まず「誰が引き継ぐか」を決める#
お墓・仏壇・位牌は、祭祀財産といって相続財産とは別に扱われます。
- 遺産分割の対象にならない — 引き継ぐ人(祭祀承継者)が1人で承継します
- 相続税はかからない — 非課税財産です
- 相続放棄をしても引き継げる — 相続財産ではないためです
- 承継者は、遺言による指定 → 慣習 → 家庭裁判所の定め、の順で決まります
仏壇の処分#
手順
- 菩提寺に相談する — まずここから。宗派によって作法が異なります
- 閉眼供養(魂抜き)をしてもらう — 僧侶に読経していただき、仏壇から魂を抜きます
- 中の物を確認する — 位牌、過去帳、遺影、そして現金や権利証が入っていることがあります
- 処分する — 仏具店、専門業者、寺院、自治体の粗大ごみ
費用の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 閉眼供養のお布施 | 1万〜5万円程度 |
| 仏壇の引き取り・処分 | 2万〜8万円程度(大きさによる) |
| 自治体の粗大ごみ | 数百円〜数千円(供養は別途) |
仏具店で新しい仏壇を買う場合、古い仏壇の引き取りを無料または割安で行ってくれることがあります。
小さくして引き継ぐという選択
「処分するのは忍びないが、大きな仏壇は置けない」という場合、ミニ仏壇や手元供養に切り替える方法があります。位牌だけを引き継ぐ、写真と小さな仏具だけにする、という形も広く行われています。
位牌・過去帳・遺影#
- 位牌 — 閉眼供養のうえ、お焚き上げ。または繰り出し位牌にまとめる、永代供養に出す
- 過去帳 — 家系の記録なので、残すことをおすすめします。処分する前に写真を撮っておくだけでも違います
- 遺影 — 処分に抵抗があれば、写真に撮ってデータで残す方法があります
- 人形・お守り・御札 — 神社や寺院のお焚き上げ、人形供養を行う寺社
神棚の処分#
神棚は、神社に相談します。
- 氏神神社または御札を受けた神社に相談する
- 昇神の儀(御霊抜き)をしていただく
- お焚き上げ、または神社に納める
- 御札・お守りは、いただいた神社に返納するのが基本
どこの神社の御札か分からない場合は、近くの神社に相談すれば受け付けてもらえることが多いです。
墓じまい(改葬)の手順#
墓じまいは、法律上の手続きがあります。勝手に遺骨を移すことはできません。
- 親族の同意を得る — ここを飛ばすと必ず揉めます。最も重要な工程です
- 新しい納骨先を決める — 永代供養墓、納骨堂、樹木葬、散骨、手元供養など
- 新しい納骨先から「受入証明書」をもらう
- 現在の墓地の管理者から「埋葬証明書」をもらう
- 現在の墓地がある市区町村に「改葬許可申請書」を提出し、改葬許可証を受け取る
- 閉眼供養をしてもらい、遺骨を取り出す
- 墓石を撤去し、区画を更地に戻して返還する
- 新しい納骨先に、改葬許可証を提出して納骨する
費用の目安
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 墓石の撤去・原状回復 | 1㎡あたり10万〜15万円程度 |
| 閉眼供養のお布施 | 3万〜10万円程度 |
| 改葬許可申請の手数料 | 数百円〜千円程度 |
| 新しい納骨先 | 永代供養墓は10万円台〜、納骨堂は数十万円〜、樹木葬は数十万円〜 |
| 遺骨の運搬 | 自分で運べば無料。郵送や専門業者に頼む方法もあります |
合計で数十万円〜100万円台になることが一般的です。区画が広い、重機が入らない、といった条件で大きく変わります。
離檀でこじれないために#
墓じまいで最も多いトラブルが、菩提寺との関係です。
離檀料について
離檀料は、法律上支払い義務のあるものではありません。これまでお世話になったことへのお礼として渡す、というのが本来の位置づけです。
ただし、高額を請求されてトラブルになる例が報道されています。埋葬証明書の発行を拒まれる、といった話も聞きます。
こじれないための進め方
- 業者に先に頼まない — まず住職に直接、自分の口で相談する
- 書面や電話で済ませない — 会って話す。これだけで対応が変わります
- 理由を正直に伝える — 「継ぐ者がいない」「遠方で通えず、無縁にしてしまうほうが心苦しい」
- 感謝を先に伝える — 「長年お世話になりました」から入る
- 金額は事前に確認する — 「お気持ちで」と言われたら、地域の相場を他の檀家や石材店に聞く
新しい納骨先の選び方#
| 方法 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 永代供養墓 | 寺院や霊園が管理・供養を続ける | 多くは一定期間後に合祀。取り出せなくなります |
| 納骨堂 | 屋内。天候に左右されず参りやすい | 契約期間と、期間満了後の扱いを確認 |
| 樹木葬 | 樹木や草花を墓標とする | 個別か合祀か。改葬できるかを確認 |
| 散骨 | 海洋など | 全部撒くと後から参る場所がなくなります。一部を手元に残す方法も |
| 手元供養 | 自宅で 小さな骨壺などに納める | 自分の代の後をどうするかは決めておく |
合祀すると遺骨は取り出せなくなります。後から「やはり別の場所へ」ができないので、親族の同意はここで固めておいてください。
菩提寺の名称・宗派・管理料の支払先。これらを書き残しておくと、引き継ぐ人が迷いません。無料・登録不要です。
お墓の情報を書き残すまとめ#
- お墓・仏壇・位牌は祭祀財産。相続財産とは別扱いで、相続税もかからない
- 仏壇の処分は閉眼供養 → 中身の確認 → 処分。引き出しを必ず全部開ける
- 過去帳は残す。家系の記録として代えがきかない
- 墓じまいは新しい納骨先を先に決める。でないと改葬許可が下りない
- 離檀料に法的な支払い義務はない。ただし進め方でこじれる
- 住職には業者を挟まず、直接、会って相談する
よくある質問
- Q. 仏壇を粗大ごみとして出してもいいですか?
- 法律上は問題ありませんが、閉眼供養をしてから出す方がほとんどです。抵抗がある場合は、仏具店や専門業者が供養と処分をあわせて請け負ってくれます。いずれにせよ、中の引き出しの確認だけは必ず行ってください。
- Q. 菩提寺がどこか分かりません。
- 過去帳、位牌の裏、法要の案内はがき、香典返しの記録、墓石に刻まれた寺院名などが手がかりになります。年に一度、護持会費や管理料の請求が来ていれば、その通知から分かります。通帳の引き落とし履歴も確認してみてください。
- Q. 親族が墓じまいに反対しています。
- 強行すると、後々まで関係に影響します。まず「維持し続けた場合に誰が管理料を払い、誰が参るのか」を具体的に確認してみてください。反対する方が引き継ぐ意思と実行力を持っているなら、承継してもらうのが最善です。誰も引き受けられないと分かれば、話は進みやすくなります。
- Q. 遺骨を自宅に置いておいてもいいですか?
- 自宅に安置すること自体は問題ありません。墓地埋葬法が規制しているのは、墓地以外の場所への「埋葬・埋蔵」です。ただし、自分の代の後をどうするかは決めておかないと、次の世代が同じ問題を抱えることになります。
「ななえの手帖」でできること
読んだ内容を、そのまま形にできます。登録不要・無料。入力した内容はお使いの端末内にのみ保存され、 外部サーバには送信されません。
この記事を送る
ご家族や、気になっている方に。読んでほしい人に送っておくと、話を切り出しやすくなります。
あわせて読みたい
一次情報の確認先
この記事に出てくる制度や数値は、次の機関が公表している情報にもとづいています。 制度は改正されることがあるため、実際の手続きの前に最新の内容をご確認ください。
登録会員(無料)
会員特典「手帖の道具箱」をお届けします
読んで終わりにせず、手を動かすところまで。無料の登録会員になると、印刷して書き込める4枚をお届けします。
- もしもの頁 冊子版もしもの時にご家族が行う手続きを、期限順に並べた一冊。連絡先の記入欄つき。
- 終活の棚卸しシート財産と契約を一年に一度書き出すためのシート。去年からの変化を追えます。
- 贈与契約書のひな形生前贈与の「言った・言わない」を残さないための契約書。記入して2通作れます。
- デジタル遺品チェックリストスマホ・アカウント・サブスクの棚卸しと、故人アカウント管理人の設定手順。
あわせて、年に一度「そろそろ手帖の更新を」とお声がけします。 財産も家族の連絡先も制度も一年で変わるので、思い出すきっかけがあるだけで手帖は生き続けます。
このサイトのエンディングノートと相続税の概算計算は、登録なしで無料でお使いいただけます。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。 制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁の最新情報をご確認いただくか、 税理士等の専門家にご相談ください。