エンディングノートの書き方

負債と契約の棚卸し|借金・連帯保証・サブスクを家族に残さない

借入金、連帯保証、住宅ローン、サブスクリプション。プラスの財産より家族を困らせるのが負債と契約です。連帯保証の地位も相続されること、放置すると引き落としが続くこと、信用情報の開示請求で借入を確認する方法までまとめました。

約4分で読めます・2026-09-06 公開

この記事の要点

  • 借入金だけでなく、人の借金の連帯保証人という立場も相続されます。本人しか知らないことが多く、最も家族を困らせる項目です。
  • 住宅ローンは団体信用生命保険に入っていれば完済されますが、加入していない借入は残ります。
  • プラスの財産より借金が多い場合、相続放棄は相続があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
  • 解約されないサブスクリプションは引き落としが続きます。1か月分の引き落とし明細とカードの利用明細を見れば、ほぼ洗い出せます。
  • 借入や保証の有無は、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターの3か所に開示請求すれば確認できます。

エンディングノートというと財産を書くものと思われがちですが、家族を本当に困らせるのは負債と契約のほうです。プラスの財産は見つかれば喜ばれますが、知らされていない借金や契約は、時間が経つほど不利になります。

いちばん危ないのは、連帯保証#

相続では、プラスの財産と一緒に借金も引き継がれます。ここまでは知られていますが、見落とされがちなのが連帯保証です。

厄介なのは、保証している間は何も起きないことです。主債務者がきちんと返している限り、通知も届きません。だからこそ、保証しているという事実そのものを書き残す必要があります。

書き出す項目#

借入金

種類書くこと注意
住宅ローン金融機関名/団体信用生命保険の加入の有無団信に入っていれば亡くなった時点で完済されます
自動車ローン・教育ローン金融機関名/おおよその残り団信がないことが多く、残ります
カードローン・キャッシングカード会社名家族が把握していないことが多い
事業用の借入金融機関名/保証協会の利用の有無個人保証がついていないか確認
親族や知人からの借入相手の名前/借用書の有無書面がないと後で争いになりがち

保証

  • 誰の、何の連帯保証をしているか(相手の名前と、借入先)
  • 保証した時期と、おおよその金額
  • 契約書の保管場所
  • 賃貸物件の保証人になっていないか(子の部屋、親族の施設入居など)

継続してお金が出ていく契約

亡くなった後も引き落としが続き、家族が気づくまで払い続けることになる契約です。ここは金額の大小より、漏れなく並べることが大事です。

  • 通信 — 携帯電話、自宅のインターネット、固定電話
  • 公共料金 — 電気、ガス、水道、NHK
  • サブスク — 動画・音楽配信、クラウドストレージ、新聞、有料アプリ
  • 会費 — ゴルフ・リゾート会員権、同窓会、業界団体、スポーツクラブ
  • 保険 — 掛け捨ての医療保険、火災保険、自動車保険
  • その他 — 定期購入(健康食品、水)、レンタル倉庫、駐車場、墓地の管理料

サブスクは、解約先まで書く#

サービス名だけ書いてあっても、家族は解約方法にたどり着けません。とくにアプリ内で契約したものは、契約先がアプリストアになっていて、サービスの公式サイトからは解約できないことがあります。

  • サービス名と、どこで契約したか(公式サイト/アプリストア/代理店)
  • 引き落とし先(どの口座、どのカード)
  • 登録に使ったメールアドレス(IDの手がかりになります)

なお、スマホのロックが解けないと解約手続きに進めないことがあります。端末の扱いについてはデジタル遺品の整理をあわせてご覧ください。

借入の有無を確かめる方法#

「本人に借金があったかどうか分からない」というとき、信用情報機関に開示請求をすると確認できます。生前は本人が、亡くなった後は相続人が請求できます。

機関主に分かるもの
CICクレジットカード、信販会社、携帯電話の割賦
JICC消費者金融、信販
全国銀行個人信用情報センター(KSC)銀行、信用金庫、保証会社

3か所は加盟している会社が違うため、確実を期すならすべてに請求します。手数料は1か所あたり1,000円前後です。

借金のほうが多いとき|相続放棄#

プラスの財産より借金が多い場合、相続人は相続放棄を選べます。期限は相続があったことを知った時から3か月以内で、家庭裁判所への申述が必要です。

ここで効いてくるのが、負債を書き残しておくことです。3か月という期間は、財産と借金の全体像をつかむには短い。判断材料が手元にあるかどうかで、家族が選べる選択肢の幅が変わります。

「ななえの手帖」には、負債・契約・サブスクを書く欄があります。金額を書かず、契約先だけ並べる使い方でもかまいません。

負債・契約を書き出す

まとめ#

  • 借金だけでなく、連帯保証の地位も相続される。本人しか知らないため必ず書く
  • 住宅ローンは団信があれば完済。それ以外の借入は残る
  • サブスクは「サービス名」ではなく「解約先」まで書く
  • 洗い出しは、口座とカードの明細を1か月分見るのが最短
  • 借金のほうが多いなら相続放棄。期限は知った時から3か月以内

よくある質問

Q. 借金があることを家族に知られたくありません。
お気持ちは分かりますが、知らせないことで困るのは残された家族です。相続放棄には3か月という期限があり、借金の存在を知らないまま期限を過ぎると、返済義務を負ったまま身動きが取れなくなります。金額まで書かなくてよいので、借入先だけでも残してください。
Q. 住宅ローンは相続人が払い続けるのですか?
団体信用生命保険に加入していれば、亡くなった時点で保険金によって完済されるのが一般的です。ただし、フラット35など団信の加入が任意の商品もあり、加入していない場合は残債が引き継がれます。加入の有無を必ず確認して書いておいてください。
Q. 亡くなった後、サブスクはすぐ止まりますか?
止まりません。多くのサービスは自動更新で、解約の手続きをしない限り引き落としが続きます。口座を凍結すれば引き落としは止まりますが、未払いとして請求が残ることがあるため、解約の手続きが必要です。
Q. 連帯保証人になっていたかどうかを、あとから調べられますか?
信用情報機関への開示請求で分かることがありますが、個人間の保証など記録に残らないものもあります。書面が残っていないか、通帳に不自然な入出金がないかを確認するほかありません。生前に書き残しておくことが、事実上ほぼ唯一の対策です。

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  • 法務省相続・遺言・登記の制度
  • 国税庁相続税・贈与税・所得税の取扱い

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