# 認知症による資産凍結への備え｜元気なうちにできる5つのこと

> 認知症で判断能力を失うと、預金の引き出し、自宅の売却、遺言書の作成、生前贈与のすべてが止まります。何ができなくなるのかを具体的に示し、家族信託・任意後見・代理人サービスなど、判断能力があるうちにできる備えを費用の低い順に解説します。

- URL: https://endingnote.nanae.me/guides/ninchishou-shisan-touketsu
- カテゴリ: 家族信託・認知症への備え
- 公開: 2026-09-05
- 最終更新: 2026-09-05

## この記事の要点

- 判断能力を失うと、預金の引き出し、自宅の売却、遺言書の作成、生前贈与のすべてが止まります。
- 家族が代わりに預金を引き出すことは原則できません。金融機関が本人の判断能力の低下を把握すれば、口座は凍結されます。
- 自宅を売るには成年後見の申立てと家庭裁判所の許可が必要になり、生前贈与は後見では原則できません。
- 備える手段そのものが使えなくなるため、認知症と診断されてからでは挽回できません。始めどきは「まだ早い」と感じる時期です。
- 費用がほとんどかからない備えとして、財産の一覧を作って保管場所を伝える、医療や介護の希望を書き残す、金融機関の代理人サービスを申し込む、の3つがあります。

相続の準備というと、亡くなった後のことを想像しがちです。しかし実務で本当に困るのは、**その手前**にあります。判断能力を失ったあと、亡くなるまでの期間です。

この間、本人の財産は事実上動かせなくなります。家族であっても代理はできません。この記事では、何が止まるのかを具体的に示し、判断能力があるうちにできる備えを整理します。

## 判断能力を失うと、何が止まるのか

| やりたいこと | 判断能力がある | 判断能力を失った後 |
| --- | --- | --- |
| 預金を引き出す | ○ | × 金融機関が口座を凍結 |
| 定期預金を解約する | ○ | × |
| 自宅を売って施設費用に充てる | ○ | × 後見の申立てと家庭裁判所の許可が必要 |
| 賃貸物件の契約・修繕・建て替え | ○ | × 後見では原則困難 |
| 遺言書を書く | ○ | × |
| 生前贈与をする | ○ | × 後見では原則できない |
| 家族信託の契約を結ぶ | ○ | × |
| 任意後見契約を結ぶ | ○ | × |
| 生命保険に加入する | ○ | × |

この表で重要なのは、**備えの手段そのものが使えなくなる**という点です。信託も遺言も任意後見も、契約や作成には判断能力が要ります。「そうなってから考える」ができない領域だ、ということです。

> **残された手段は法定後見だけ**
>
> 判断能力を失った後に取れる手段は、実質的に法定後見の申立てのみです。ただし後見人は**本人の財産を守る**のが役割なので、生前贈与や積極的な運用は認められません。家庭裁判所が専門職を選任すれば、本人が亡くなるまで報酬が発生し続けます。

## よくある行き詰まりの場面

### ① 実家を売って施設費用に充てたい

最も多いご相談です。名義人本人の意思確認ができないため、そのままでは売れません。法定後見を申し立て、さらに居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要になります。数か月かかることも珍しくありません。

その間の施設費用は、家族が立て替えることになります。

### ② 親の預金から生活費や医療費を出したい

金融機関が本人の判断能力の低下を把握すると、口座は凍結されます。家族が代わりに引き出すことはできません。

近年は、医療費など本人のための支出であれば柔軟に対応する金融機関も出てきていますが、対応は一様ではありません。あてにできる仕組みではない、と考えておくのが安全です。

### ③ 相続対策を始めたかったのに

「そろそろ贈与を始めよう」「遺言書を書こう」と思っていた矢先に判断能力が低下する。このパターンが、いちばん惜しいところです。

相続税の対策は、時間をかけるほど効果が出ます。[生前贈与](https://endingnote.nanae.me/guides/seizen-zoyo)の加算期間が7年へ段階的に延長されたことで、早く始める意味はさらに大きくなりました。

## 元気なうちにできる5つの備え

費用の低い順に並べます。**上から順に、できるところまで**進めるのが現実的です。

### ① 財産の一覧を作り、家族に伝える（費用ゼロ）

すべての備えの土台です。どこにどんな財産があるか分からなければ、後見も信託も設計できません。

- 金融機関名と支店名（残高は不要）
- 保険会社名と証券番号、受取人
- 不動産の所在地
- 借入や連帯保証の有無
- 証券口座、ネット銀行

[エンディングノート](https://endingnote.nanae.me/note)は無料・登録不要で、今日から書き始められます。判断能力があるうちにしか書けない、という点では、他の備えと同じです。

### ② 医療・介護の希望を書き残す（費用ゼロ）

延命治療をどうするか、介護は在宅か施設か、判断を誰に任せたいか。

意思を伝えられなくなったとき、家族は「本人ならどうしたかったか」を手がかりなしに決めることになります。方針と、決めてほしい人。この2つを書いておくだけで、家族は決断を1人で背負わずに済みます。

### ③ 金融機関の代理人サービスを申し込む（費用は低め）

多くの金融機関が、あらかじめ代理人を登録しておく仕組みを用意しています。名称は「代理人カード」「代理人指名手続」「予約型代理人サービス」など、金融機関によって異なります。

- **本人が元気なうちにしか申し込めません**
- 取引できる範囲は金融機関ごとに異なります（引き出しのみ、解約も可、など）
- 不動産は対象外です

日常の資金繰りに限れば、これだけでもかなり効きます。取引のある金融機関に、一度問い合わせてみてください。

### ④ 遺言書を作る（費用は中程度）

判断能力を失った後の生活には効きませんが、**亡くなった後の分け方を確定させる**唯一の手段です。

自筆証書＋法務局の保管制度なら費用を抑えられます。確実性を優先するなら公正証書です。詳しくは[遺言書が必要な人チェックリスト](https://endingnote.nanae.me/guides/yuigon-hitsuyou)をご覧ください。

### ⑤ 家族信託・任意後見を組む（費用は高め）

不動産の管理や処分まで含めて備えるなら、この2つです。

|  | 家族信託 | 任意後見 |
| --- | --- | --- |
| 守れる範囲 | 信託した財産の管理・処分 | 身上監護と財産管理全般 |
| 柔軟性 | 高い（売却・修繕・借入も設計次第） | 本人保護の枠内 |
| 家庭裁判所の関与 | なし | 監督人がつく |
| 継続的な費用 | 原則なし | 監督人の報酬 |
| 初期費用 | 高い | 公正証書作成費用 |

両者は競合しません。**財産管理は信託、身上監護は任意後見**、という併用が最も隙のない形です。詳しくは[家族信託とは](https://endingnote.nanae.me/guides/kazoku-shintaku)と[3つの制度の使い分け](https://endingnote.nanae.me/guides/kazoku-shintaku-vs-kouken)をご覧ください。

[今日できる備えを始める](https://endingnote.nanae.me/note)

## 始めどきをどう判断するか

「まだ元気だから」と考えているうちに手遅れになるのが、この分野の難しさです。次のいずれかに当てはまったら、検討を始める時期だと考えてください。

- **65歳を過ぎた**（何もなくても、一度は考えておく時期）
- **同じ話を繰り返すようになった**
- **通帳や印鑑をどこに置いたか分からなくなることが増えた**
- **郵便物が開封されないまま溜まっている**
- **大きな買い物や契約の判断に迷うようになった**
- **配偶者を亡くし、一人で財産を管理することになった**

医師の診断がついていなくても、契約能力が争われる余地は生じます。**気になり始めた時点が、すでに動くべきタイミング**です。

## 親に切り出すときのコツ

この話は、切り出し方を誤ると「財産を狙っている」と受け取られます。実際にそう受け取られて話が止まる例は、少なくありません。

1. **自分の話から始める** — 「私、エンディングノートを書いてみたんだ」と、自分のものを先に見せる
2. **主語を自分にする** — 「困らないように教えてほしい」。「もしものときのために書いて」ではなく
3. **ニュースを枕にする** — 「認知症で口座が凍結される話、テレビでやってたよ」
4. **一度で決めようとしない** — 目標は「話題にできた」ことで十分

帰省や敬老の日、お彼岸など、家族が集まる機会は年に何度もあります。1回で全部を進めようとしないほうが、結果的に早く進みます。

## まとめ

- 判断能力を失うと、**預金・不動産・遺言・贈与のすべてが止まる**
- **備える手段そのものが使えなくなる**ため、後から挽回できない
- 残る手段は法定後見だけ。柔軟な運用はできず、費用も続く
- **費用ゼロでできること**（財産の一覧、医療の希望）から始める
- 不動産があるなら**家族信託**、身上監護なら**任意後見**
- **気になり始めた時点が、動くべきタイミング**

## よくある質問

### 認知症と診断されたら、もう何もできませんか？

診断があるだけで一律に契約できなくなるわけではありません。判断能力は程度の問題で、軽度であれば遺言書や信託契約が可能な場合もあります。ただし後から有効性を争われるリスクは高まります。可能なうちに、医師の診断書を得るなどの手当てとあわせて進めてください。

### 家族が代わりに預金を引き出すことはできませんか？

原則としてできません。キャッシュカードで引き出せているうちは動きますが、金融機関が本人の判断能力の低下を把握すれば凍結されます。本人のための医療費などについて柔軟に対応する動きもありますが、対応は金融機関ごとに異なり、あてにできる仕組みではありません。

### 親が備えを嫌がります。どうすればいいですか？

無理に進めても逆効果です。まずご自身が先に書いてみて、それを見せるところから始めてください。また、財産の話でなく「かかりつけ医」「薬」「連絡先」といった医療の話から入ると、受け入れられやすくなります。

### 費用をかけずにできる備えはありますか？

あります。財産の一覧を作って保管場所を家族に伝えること、医療・介護の希望を書き残すこと、金融機関の代理人サービスを申し込むこと。この3つは費用がほとんどかからず、効果は小さくありません。エンディングノートは無料で始められます。

## 一次情報の確認先

- [法務省](https://www.moj.go.jp/)：相続・遺言・登記の制度
- [厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/)：健康保険・介護保険・成年後見
- [e-Gov 法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/)：民法・相続税法などの条文

---

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。
制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁・法務局などの最新情報をご確認いただくか、税理士等の専門家にご相談ください。

出典：ななえの手帖（https://endingnote.nanae.me/）
