# 子どもがいない夫婦の遺言書｜配偶者に全部残すための書き方

> 子がいない夫婦では、配偶者は亡くなった人の親や兄弟姉妹と遺産を分けることになります。兄弟姉妹に遺留分がないため遺言で全部を配偶者に残せること、親がいる場合の注意、甥や姪の代襲相続、そして夫婦それぞれが書く必要があることまで解説します。

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- カテゴリ: 遺言書の書き方
- 公開: 2026-09-06
- 最終更新: 2026-09-06

## この記事の要点

- 子がいない場合、相続人は配偶者と、父母などの直系尊属、いなければ兄弟姉妹になります。配偶者だけが相続人になるわけではありません。
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人のとき、法定相続分は4分の3と4分の1です。兄弟姉妹が先に亡くなっていれば甥や姪が代襲相続します。
- 兄弟姉妹には遺留分がないため、遺言で全財産を配偶者に残すことができます。請求される心配がありません。
- 父母などの直系尊属が健在な場合は遺留分があります。全体の3分の1に法定相続分を掛けた割合で、金銭を請求される可能性が残ります。
- 2人以上が同じ証書で遺言をすることは禁止されています。夫婦それぞれが別々に作成し、相手が先に亡くなった場合の指定も入れておきます。

「子どもがいないので、財産は全部、妻に渡ります」。——この理解は、**間違いです**。

子がいない夫婦は、遺言書を書く必要性が最も高い層のひとつです。にもかかわらず、必要だと思っていない方が多い。ここが危ないところです。

## 遺言がないと、誰と分けることになるか

法定相続人は、配偶者と、次の順位で決まります。

| 状況 | 相続人 | 法定相続分 |
| --- | --- | --- |
| **父母のどちらかが健在** | 配偶者と直系尊属 | 配偶者 3分の2、直系尊属 3分の1 |
| **父母は他界、兄弟姉妹がいる** | 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者 **4分の3**、兄弟姉妹 4分の1 |
| **兄弟姉妹も他界、甥姪がいる** | 配偶者と甥姪（代襲相続） | 配偶者 4分の3、甥姪 4分の1 |
| 直系尊属も兄弟姉妹も甥姪もいない | 配偶者のみ | 全部 |

> **実際に起きること**
>
> 遺言がないと、遺産分割協議には**相続人全員の合意が必要**です。つまり、残された配偶者は、**亡くなった配偶者の兄弟姉妹や甥姪と、遺産の分け方を話し合う**ことになります。疎遠であっても、一度も会ったことがない甥姪であっても、全員の署名と実印が要ります。

ここで自宅しか主だった財産がない場合、配偶者が住み続けるために、兄弟姉妹へ支払う現金を用意しなければならないという事態になります。

## 兄弟姉妹には遺留分がありません

ここが最大のポイントです。遺留分——遺言でも奪えない最低限の取り分——が保障されているのは、**配偶者・子・直系尊属**だけです。

> **兄弟姉妹・甥姪に遺留分はありません**
>
> つまり、**「全財産を妻に相続させる」と書いた遺言があれば、そのとおりになります**。兄弟姉妹や甥姪から金銭を請求される心配はありません。遺言書1通で問題が完全に解決する、数少ない場面です。

### 父母が健在な場合は注意

直系尊属には遺留分があります。割合は**全体の3分の1 × 法定相続分**です。

- 相続人が配偶者と父母の場合、父母の法定相続分は3分の1
- 遺留分は 3分の1（全体）× 3分の1 ＝ **9分の1**
- 遺産が9,000万円なら、父母あわせて1,000万円を請求される可能性があります

それでも、遺言がない場合の3分の1（3,000万円）と比べれば大きく減ります。**父母が健在でも、遺言を書く意味は十分にあります**（[遺留分とは](https://endingnote.nanae.me/guides/iryuubun)）。

## 書き方の要点

### ① 夫婦それぞれが書く

**2人以上が同じ証書で遺言をすることは、法律で禁止されています**。1枚に夫婦2人分を書けば無効です。同じ日に、別々の遺言書として作成してください。

### ② 予備的遺言を必ず入れる

「全財産を妻に相続させる」とだけ書いた場合、**妻が先に亡くなると、その部分は効力を生じません**。遺言がないのと同じ状態に戻ってしまいます。

> **書き方の例**
>
> **第1条　遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻 ○○ ○○（昭和○年○月○日生）に相続させる。**
> 
> **第2条　妻 ○○ ○○ が遺言者より先に、または遺言者と同時に死亡したときは、前条の財産を、○○ ○○（住所・生年月日）に遺贈する。**

第2条の行き先は、甥姪、お世話になった方、母校やNPOへの遺贈など、自由に決められます。夫婦がほぼ同時に亡くなる事故もあり得るので、**ここを空けておかないでください**。

### ③ 遺言執行者を指定する

遺言執行者を指定しておけば、預金の解約や不動産の名義変更を**他の相続人の協力なしに**進められます。配偶者自身を指定するのが一般的です（[遺言執行者とは](https://endingnote.nanae.me/guides/yuigon-shikkousha)）。

### ④ 公正証書にする

子がいない夫婦の遺言は、**兄弟姉妹や甥姪が内容を知って驚く**構図になりがちです。方式の不備で無効になると、その隙を突かれます。費用はかかりますが、公正証書で作ることを強くおすすめします（[公正証書遺言の作り方](https://endingnote.nanae.me/guides/kousei-shousho-yuigon)）。

## 二次相続まで考える

子がいない夫婦では、**残された配偶者が亡くなったとき**にも同じ問題が起きます。

- 夫の財産を全部相続した妻が亡くなると、その財産は**妻側の親族**へ渡ります
- **夫側の実家から受け継いだ不動産**も、妻側の親族へ移ることになります
- 「先祖代々の土地は自分の甥に」といった希望があるなら、**妻にも遺言を書いてもらう**必要があります

> **2代先まで決めたいなら家族信託**
>
> 遺言で決められるのは次の1代までです。「妻の次は自分の甥へ」と**2代先まで指定したい**場合、家族信託（受益者連続型）という手段があります（[家族信託とは](https://endingnote.nanae.me/guides/kazoku-shintaku)）。

## 相続税でも配偶者は優遇されます

配偶者の税額軽減により、配偶者が取得した遺産のうち**1億6,000万円と法定相続分相当額のいずれか多い金額まで**、相続税はかかりません。

子がいない場合、配偶者の法定相続分は4分の3または3分の2と大きいため、**この枠はかなり広くなります**。ただし適用には**相続税の申告が必要**です（[配偶者の税額軽減](https://endingnote.nanae.me/guides/haiguusha-zeigaku-keigen)）。

なお、法定相続人の数が少ないぶん**基礎控除は小さく**なります（相続人が2人なら4,200万円）。財産の総額によっては申告が必要になるので、一度概算しておいてください。

[相続税の目安を計算する](https://endingnote.nanae.me/tax)

## まとめ

- 子がいなくても、**配偶者だけが相続人になるとは限りません**
- 兄弟姉妹・甥姪に遺留分はありません。遺言で全部を配偶者に残せます
- 父母が健在なら遺留分あり（**9分の1**が目安）。それでも書く意味は大きい
- **夫婦それぞれが**作る。相手が先に亡くなった場合の**予備的遺言**を必ず入れる
- 残された配偶者にも遺言を書いてもらわないと、二次相続で財産の行き先が変わる

## よくある質問

### 夫の兄弟とは何十年も会っていません。それでも連絡が必要ですか？

遺言がなければ必要です。遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立せず、1人でも欠けたものは無効になります。所在が分からない場合は戸籍の附票で住所を追い、それでも不明なら家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることになります。遺言があれば、この手間はすべて不要になります。

### 夫婦で同じ内容の遺言を1通にまとめたいのですが。

できません。2人以上が同じ証書で遺言をすることは法律で禁止されており、無効になります。同じ日に、それぞれ別の遺言書として作成してください。公正証書であれば、同じ日に続けて2件作成してもらえます。

### 配偶者に全部残すと、相続税が高くなりませんか？

一次相続では配偶者の税額軽減が使えるため、多くの場合は軽くなります。ただし、子がいない夫婦では二次相続の相続人が配偶者側の親族になるため、子がいる家庭の二次相続とは事情が異なります。財産が大きい場合は、税理士に試算を依頼してください。

### 配偶者居住権は使えますか？

使えます。自宅の所有権を他の相続人が取得し、配偶者は住み続ける権利だけを取得する制度です。ただし、子がいない夫婦で遺言により全財産を配偶者に残すのであれば、そもそも所有権ごと取得できるため、配偶者居住権を使う場面は限られます。

## 一次情報の確認先

- [法務局](https://houmukyoku.moj.go.jp/)：相続登記・自筆証書遺言書保管制度
- [法務省](https://www.moj.go.jp/)：相続・遺言・登記の制度
- [e-Gov 法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/)：民法・相続税法などの条文

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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。
制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁・法務局などの最新情報をご確認いただくか、税理士等の専門家にご相談ください。

出典：ななえの手帖（https://endingnote.nanae.me/）
