# 家族信託とは｜しくみを図解でわかりやすく、できること・できないこと

> 家族信託は、判断能力があるうちに財産の管理を家族へ託しておく仕組みです。委託者・受託者・受益者の3者関係、認知症になっても資産凍結を避けられる理由、贈与税がかからない条件、そして家族信託では解決できないことまで解説します。

- URL: https://endingnote.nanae.me/guides/kazoku-shintaku
- カテゴリ: 家族信託・認知症への備え
- 公開: 2026-09-05
- 最終更新: 2026-09-05

## この記事の要点

- 家族信託には、財産を託す委託者、預かって管理する受託者、利益を受ける受益者の3者が登場します。
- 当初の受益者を委託者本人にしておけば、財産の実質的な持ち主が変わらないため贈与税はかかりません。
- 名義が受託者に移るため、本人が認知症になっても信託した財産の管理や売却を続けられます。これが資産凍結を避けられる理由です。
- 二次相続以降の承継先まで指定できますが、30年ルールという期間の制限があります。
- 身上監護はできず、判断能力が低下してからでは契約できません。信託していない財産のために、遺言書を併用するのが一般的です。

家族信託とは、**判断能力があるうちに、信頼できる家族へ財産の管理を託しておく**仕組みです。信託法にもとづく契約で、認知症になっても財産が凍結されないようにすることが最大の目的になります。

「信託」という言葉から信託銀行を思い浮かべる方が多いのですが、家族信託は**家族が受託者になる**のが特徴です。営業として報酬を得て受託するわけではないため、信託業の免許は不要になります。

## 登場するのは3者

![家族信託の3者の関係。委託者が財産を託し、受託者が管理し、受益者が利益を受ける。](https://endingnote.nanae.me/img/guides/shintaku-3sha.svg)

*最も多いのが、父が委託者かつ受益者、長男が受託者という形（自益信託）です。*

| 立場 | 役割 | 典型例 |
| --- | --- | --- |
| 委託者 | 財産を託す人。信託を設定する | 父 |
| 受託者 | 財産を預かり、管理・処分する人 | 長男 |
| 受益者 | 財産から利益を受ける人 | 父（本人） |

最も多いのが、**父が委託者かつ受益者、長男が受託者**という形です。これを「自益信託」といいます。

名義は長男に移りますが、**利益を受けるのは父のまま**です。財産が長男のものになるわけではありません。ここが理解の分かれ目になります。

> **自益信託なら贈与税はかかりません**
>
> 信託では「受益者が実質的な所有者」として課税されます。委託者と受益者が同じ（父→父）であれば経済的な移転が起きていないため、設定時に**贈与税はかかりません**。名義が長男に変わっても同じです。

## なぜ資産凍結を避けられるのか

通常、認知症などで判断能力を失うと、次のことができなくなります。

- 預金を引き出す（金融機関が口座を凍結する）
- 自宅や賃貸物件を売却する
- 賃貸借契約を結び直す、大規模修繕を発注する
- 遺言書を書く、生前贈与をする

家族でも代理はできません。成年後見の申立てが必要になり、時間も手間もかかります。

家族信託を設定しておくと、**管理・処分の権限は受託者（長男）が持っている**ため、父の判断能力が失われても手続きは止まりません。受託者が自分の判断で、信託目的の範囲内で動けます。

## できること

### ① 認知症になっても、実家を売って施設費用に充てられる

最もよく使われる場面です。父が施設に入り、空き家になった実家を売却して費用に充てる。信託していなければ成年後見の申立て、さらに居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可が必要になります。

### ② 賃貸物件の管理を続けられる

賃貸借契約の締結、修繕、建て替え、借入。オーナーの判断能力が失われると全部が止まります。信託しておけば、受託者が事業を回し続けられます。

### ③ 二次相続以降の承継先まで指定できる

**受益者連続型信託**といいます。「私が亡くなったら妻に、妻が亡くなったら長男に」と、**2代先まで指定**できます。

遺言では自分の財産の行き先しか決められず、妻が相続した後にそれを誰に渡すかは妻が決めることです。信託なら、そこまで設計できます。先祖代々の土地を血族に残したい、再婚で連れ子と実子の関係が複雑、といった場面で使われます。

> **30年ルールがあります**
>
> 受益者連続型信託は永久には続きません。**信託設定から30年を経過した後に新たに受益権を取得した受益者が死亡するまで**、で終了します。おおむね2〜3代先が限度、という理解になります。

### ④ 障害のある子の生活を、長期にわたって支える

財産を渡しても本人が管理できない場合、信託であれば受託者が管理し、必要な額を定期的に給付する形にできます。親亡き後の設計として使われる方法です。

## できないこと

万能ではありません。**できないことを正しく知っておく**ほうが、判断を誤りません。

### ① 身上監護はできない

家族信託は**財産管理の仕組み**です。施設の入所契約、入院手続き、介護サービスの契約といった身上監護は含まれません。

実務上は家族が事実上行っていることが多いのですが、法的な代理権が必要な場面では成年後見や任意後見が要ります。**併用**が現実的な解になります。

### ② 信託していない財産には効果が及ばない

信託の対象にした財産だけが守られます。信託しなかった預金口座は、認知症になれば従来どおり凍結されます。

また、**年金の受給口座は信託できません**。年金は受給者本人の口座に振り込まれる必要があるためです。

### ③ 節税効果は基本的にない

家族信託は「認知症になっても管理を続けられる」ための仕組みであり、**それ自体に相続税を減らす効果はありません**。

受益者が亡くなれば、その信託財産は相続税の課税対象になります。ただし、信託していることで生前贈与や不動産の組み替えといった対策を続けられる、という**間接的な効果**はあります。

> **損益通算ができなくなる点に注意**
>
> 信託した不動産から生じた損失は、**信託していない他の不動産所得や他の所得と損益通算できません**（租税特別措置法）。赤字の繰越もできません。収益不動産を信託する場合は、この影響を必ず試算してください。

### ④ 受託者の負担は小さくない

受託者には次の義務があります。

- **分別管理義務** — 自分の財産と信託財産を分けて管理する（信託口口座の開設など）
- **帳簿の作成・報告義務** — 年1回、財産状況を受益者に報告する
- **忠実義務** — 受益者の利益のために職務を行う
- 一定の場合、**信託の計算書**を税務署に提出する必要がある

「名義を預かるだけ」ではありません。引き受ける家族に、この負担を事前に説明しておくことが不可欠です。

## 費用の目安

| 項目 | 内容 |
| --- | --- |
| 専門家のコンサルティング報酬 | 信託財産の額に応じて設定されることが多い（1％前後を目安とする例が見られます） |
| 信託契約書の公正証書作成費用 | 公証人手数料 |
| 信託登記の登録免許税 | 不動産を信託する場合。固定資産税評価額に対して所定の税率 |
| 司法書士の登記報酬 | 不動産を信託する場合 |
| 信託口口座の開設費用 | 金融機関によって有無・金額が異なる |

金額は事務所・金融機関・財産の内容によって大きく変わります。必ず見積りを取って比較してください。

初期費用はまとまった額になりますが、**成年後見のように毎年の報酬が発生し続けることはありません**。長期で見ると逆転することもあります。

## 向いている人・向いていない人

| 向いている | 向いていない |
| --- | --- |
| 収益不動産や自宅など、管理・処分の必要がある財産を持っている | 財産が預金だけで、金額も大きくない |
| 認知症のリスクを意識する年齢になった | 判断能力がすでに低下している（契約できません） |
| 受託者を任せられる家族がいる | 任せられる家族がいない |
| 二次相続以降の承継先まで決めたい | 身上監護の手当てが主な目的 |

成年後見・遺言との使い分けは[家族信託と成年後見・遺言の使い分け](https://endingnote.nanae.me/guides/kazoku-shintaku-vs-kouken)で、具体的な手順は[家族信託の始め方](https://endingnote.nanae.me/guides/kazoku-shintaku-hajimekata)で解説しています。

[財産を書き出してみる](https://endingnote.nanae.me/note)

## まとめ

- 家族信託は**判断能力があるうちに**、家族へ財産の管理を託す契約
- 委託者＝受益者の**自益信託なら贈与税はかからない**
- 認知症になっても**管理・処分を続けられる**のが最大の効果
- **二次相続以降の承継先**まで指定できる（30年ルールあり）
- **身上監護はできない**。後見との併用が現実的
- **それ自体に節税効果はない**。損益通算の制限にも注意
- **受託者の義務は軽くない**。引き受ける家族への説明が不可欠

## よくある質問

### 家族信託をすると、財産は受託者のものになるのですか？

いいえ。名義は受託者に移りますが、利益を受けるのは受益者です。受託者は受益者のために管理する義務を負い、自分のために使うことはできません。受託者個人の財産とは分けて管理する義務（分別管理義務）もあります。

### 認知症と診断されてからでも家族信託はできますか？

信託契約も契約である以上、判断能力が必要です。程度によりますが、契約の意味を理解できない状態では締結できません。診断を受けた段階では公証人が作成に応じないこともあります。元気なうちに動くことが前提の制度です。

### 受託者を誰にすればいいですか？

多くの場合、財産を承継する予定の子が受託者になります。長期にわたる職務なので、年齢・居住地・実務をこなせるかを考慮してください。受託者が先に亡くなる場合に備え、第二受託者を契約で定めておくのが実務の定石です。

### 家族信託があれば、遺言書は不要ですか？

不要にはなりません。信託した財産の承継先は信託契約で決まりますが、信託していない財産については遺言書が必要です。実務では、信託契約と遺言書を併用して漏れをなくす設計が一般的です。

## 一次情報の確認先

- [法務省](https://www.moj.go.jp/)：相続・遺言・登記の制度
- [厚生労働省](https://www.mhlw.go.jp/)：健康保険・介護保険・成年後見
- [e-Gov 法令検索](https://laws.e-gov.go.jp/)：民法・相続税法などの条文

---

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務・法務に関する助言ではありません。
制度は改正されることがあります。実際のご判断にあたっては、国税庁・法務局などの最新情報をご確認いただくか、税理士等の専門家にご相談ください。

出典：ななえの手帖（https://endingnote.nanae.me/）
